【第62回日本推理作家協会賞[短編部門]受賞作「渋い夢」収録】
唐島英治クインテットのテナーサックス奏者・永見緋太郎は、相変わらず音楽以外に興味を持たない日々。しかし、クインテットの面々が、謎や不思議な出来事に遭遇すると大胆にも的確にその真相を突いてくる。名古屋のライヴハウスに現れたという伝説のブルースマンにまつわる謎、九州地方の島で唐島と永見が出合った風変わりな音楽とのセッションの顛末、 “密室”から忽然と消失したグランドピアノの行方、など七編を収録。ライヴ感溢れる文体が魅力の《日常の謎》的ジャズミステリシリーズ、第二弾。著者が小説のイメージで選んだ、おすすめのジャズレコード、CD情報付。著者あとがき=田中啓文
「苦い水」
「酸っぱい酒」
「甘い土」
「辛い飴」
「塩っぱい球」
「渋い夢」
「淡白な毒」
田中啓文
(タナカヒロフミ )1962年大阪府生まれ。神戸大学卒。93年『凶の剣士』が第2回ファンタジーロマン大賞に佳作入選、『背徳のレクイエム』と改題のうえ刊行してデビュー。同年、サックス・プレイヤーの永見緋太郎が登場する短編「落下する緑」が鮎川哲也編〈本格推理〉に入選。その後、ミステリをはじめとしてSFやホラーとジャンルを越えて活躍する。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」が第33回星雲賞を、09年「渋い夢」が第62回日本推理作家協会賞を、16年「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」が第47回星雲賞を受賞。主な著書に〈永見緋太郎の事件簿〉〈笑酔亭梅寿謎解噺〉シリーズのほか、『シャーロック・ホームズたちの冒険』『異形家の食卓』『こなもん屋うま子』『ウィンディ・ガール サキソフォンに棲む狐T』『地獄八景』がある。