ママが中国に取材旅行に行っている間に、親友の妻沼柚子ちゃんと一緒に通ってる塾の先生が、誰かに殺されちゃったの。人形のような美少女の柚子ちゃんを贔屓して、体の弱いことを心配したり、こっそりお菓子もあげていた先生なんだ。どういうわけか柚子ちゃんのお祖父さんや、ちょっと風変わりなお兄さんなど、妻沼家のご家族とともに事件の調査をすることになって、ってちょっとちょっとパパ聞いてる!? あの柚木草平の愛娘・加奈子ちゃんの探偵行と淡い恋心を瑞々しい筆致で描く、さわやかな余韻が秀逸なミステリ。ファン必読の〈柚木草平シリーズ〉番外編。
樋口有介
(ヒグチユウスケ )1950年群馬県生まれ。國學院大學中退。88年、『ぼくと、ぼくらの夏』でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』が第103回直木賞候補となる。『彼女はたぶん魔法を使う』に始まる〈柚木草平シリーズ〉をはじめ、青春味溢れる作品で人気を博す。著作は他に、『林檎の木の道』『雨の匂い』『ピース』『夢の終わりとそのつづき』『捨て猫という名前の猫』などがある。