F・W・クロフツ
1879年、アイルランド、ダブリン生まれ。鉄道技師であったが、病を得て長く休養した間に構想した『樽』を1920年に上梓し、好評を博する。続いて『ポンスン事件』『製材所の秘密』『フローテ公園の殺人』を発表。第5作『フレンチ警部最大の事件』でフレンチ警部を創造し、以後探偵役として定着させた。著書に『クロイドン発12時30分』『サウサンプトンの殺人』『フレンチ警部と毒蛇の謎』『フレンチ警視最初の事件』『殺人者はへまをする』等多数。1957年没。
叔父の命か、自分と従業員全員の命か。苦境を乗り切るために遺産を得ようと、叔父殺害を企むチャールズ。快哉を叫んだのも束の間、フレンチ警部という名の暗雲が漂い始める。
荷下ろし中に破損した樽の中身は女性の絞殺死体。次々に判明する事実は謎に満ち、事件はめまぐるしい展開を見せつつ混迷の度を増していく。クロフツ渾身の処女作、新訳決定版。
恋人の言うがまま詐欺を働いたダルシー。彼氏は貴族の秘書に納まって足抜けしたが、当の貴族が突如死亡。自殺か他殺か。警視に昇進したフレンチが登板するや事件は一転……。
博打で首が回らず夫婦仲は崩壊寸前の動物園園長ジョージ。金さえあれば万事解決と叔母の財産を当てにするが目算が狂い……。実験作にしてクロフツ最後の未訳作、いよいよ登場。
ヨークシャーの荒野に立つ陰気なスターヴェル屋敷が一夜にして焼け落ち、当主と召使夫婦の三人が焼死した。だが、この火災に疑問をいだき、犯罪のにおいを嗅ぎとった……
二転三転するプロット、意外な結末。第一線の作家が連作した話題の推理長編。
密室状態の船室で証券業界の大物が死んでいた。フレンチ首席警部の入念な捜査の結果、自殺の線が濃厚になるが……。企業ミステリの先駆者でもあるクロフツ中期を代表する力作!
ライバル社に侵入し機密を探る二人の男が、見咎めた夜警を死なせてしまった。遺体を運び自動車事故に偽装するが、首席警部フレンチの目は誤魔化せない。構成の妙が冴える倒叙推理!
「停止! 停止! 線路上に何かある!」複線化工事に従事する見習技師パリーの乗った機関車が停まったときには、すでに黒い塊を轢いたあとだった……
イングランドの町で引退した医師が失踪した。三分ほど前には、くつろいで新聞を読んでいる姿を妻が見ているというのに。誘拐か? それとも数日前、彼が密かに……
ガソリン特許を巡り起きた、洋上の不審死事件に挑むフレンチ警部。
宝石商の経理部長が殺され、さらに会社の金庫から50万ポンド相当の宝石類が紛失した。堅固なアリバイを持つ容疑者たちに対する、フレンチ首席警部の執拗な捜査を描く力作長編。
青年が旅先で立ち寄った製材所には、そこはかとなく不穏な空気が漂っていた。よからぬことが行われている? フランスを舞台に青年の探索が始まり……。冒険色豊かなクロフツ初期の快作。
旅行社の社員ハリー・モリソンは、ある男から豪華船を用いたイギリス列島巡航の事業計画を聞かされ、協力を申し出る。紆余曲折の末、賭博室を設けた観光船エレニーク号がアイルランド……
邸宅の主を殺害したのは誰か。予断を許さぬフレンチ警部活躍譚。
南アフリカ連邦の鉄道トンネル内で発見された男の死体をめぐって、事件の舞台はスコットランドへ。凶悪な犯罪に挑むファンダム、ロス両警部の活躍を描く、クロフツ初期の快作。
宝石商が殺され、金庫からダイヤと紙幣が消えた。事件を担当したロンドン警視庁のフレンチ警部はイギリスを飛び出し、欧州を駆け真相を追う。記念すべきフレンチ初登場作。
ロンドンの富豪マギル卿は息子の工場へ出向くといって邸を出たまま、消息を絶ってしまった。北アイルランド警察の捜査では卿の帽子が見つかっただけだった……
映画館の切符売りをしている若い女性が、フレンチ警部に助けを求めてやって来た。誘われるままに深入りした賭け事で借金を作ってしまい、返済のために……
快活な青年チェイン氏は、ある日気づくと謎めいた事態の渦中にいた。彼を襲う危機また危機。冒険小説と謎解きミステリの妙味を兼ね備えた、クロフツ初期の輝かしい傑作登場。