あれはもう昔のことだ。あの女も探偵も死んでしまったし、モーテルも焼け落ちてしまった。そしていまは、自分が母親ではなくてノーマン・ベイツであることもわかっている。そう、もう狂ってなどいないのだ……。だが嵐の夜、ベイツは殺人を犯して精神病院を脱走した! 二十年の歳月を経て、あの名作『サイコ』の恐怖がいま甦る。
大瀧啓裕
(オオタキケイスケ )1952年、大阪市生まれ。著書に『魔法の本箱』『エヴァンゲリオンの夢』、訳書にラヴクラフト『文学における超自然の恐怖』、ラッセル『悪魔の系譜』、スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』『ヒュペルボレオス極北神怪譚』『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』、オブライエン『金剛石のレンズ』、ウィルスン〈始末屋ジャック〉シリーズ他多数。