不毛な愛の果てに、永遠に続く情欲の地獄に堕ちた女性の絶望を描く表題作。下宿人が出会った幼い子供の幽霊をめぐる、ある一家の物語「仲介者」。粗暴な男が雇い主の幽霊に取り憑かれる、不思議なジェントル・ゴースト・ストーリー「被害者」など本邦初訳作を含む11篇を収録。幽艶かつ繊細な筆致で怪談・心霊小説を書き続けた英国の女流作家の精髄を、日本オリジナル編集で贈る。
「胸の火は消えず」
「形見の品」
「水晶の瑕」
「証拠の性質」
「死者が知っていたら」
「被害者」
「絶対者の発見」
「マハトマの物語」
「ジョーンズのカルマ」
「仲介者」
「希望荘」
南條竹則
(ナンジョウタケノリ )1958 年東京に生まれる。東京大学大学院英文科博士課程中退。著書に「怪奇三昧」「英語とは何か」他、訳書にチェスタトン「詩人と狂人たち」「ポンド氏の逆説」「奇商クラブ」「知りすぎた男」「裏切りの塔」、ハーン「怪談」、ラヴクラフト「インスマスの影 クトゥルー神話傑作選」他多数。