1789年、フランス革命が勃発。なんの罪もない貴族たちまで、共和国への叛逆者として次々と血に飢えたギロチンに送りこまれていった。そんななか、窮地に陥った貴族たちに海を挟んだ隣の国イギリスから救いの手を差し伸べたのが、謎の集団〈紅はこべ〉。その計画は大胆無比、紅はこべの花をかたどった小さなしるしが入った予告状が届いて数時間のうちに、厳重な警備をあざ笑うかのような鮮やかな手並みで、王党派や貴族たちを安全なイギリスの地に逃がしてしまうのだ。激動の時代の英仏を舞台に繰り広げられる絢爛たる歴史冒険大ロマン小説。訳者あとがき=圷香織
バロネス・オルツィ
1865年ハンガリー生まれ。由緒ある男爵家に生まれ、ブダペスト、ブリュッセルなどで教育を受けた後、ロンドンに移り住む。ヘザリー美術学校に入学し、イラストレーターのモンタギュー・バーストウと出会い結婚。代表作に『紅はこべ』シリーズ、『隅の老人』シリーズなどがある。1947年没。
圷香織
(アクツカオリ )上智大学国文学科卒。英米文学翻訳家。訳書にオルツィ「紅はこべ」、マクニール「チャーチル閣下の秘書」「エリザベス王女の家庭教師」「ホテル・リッツの婚約者」、チュウ「夜の獣、夢の少年」「彼岸の花嫁」、ワスマー「シェフ探偵パールの事件簿」などがある。