何かがおかしかった。3日前から、毎晩同じ夢を見る。いやな夢だ。海が荒れ、コンパスは使えなくなった。楽しいはずの船旅が悪夢に変わった。船が難破し、やっとの思いでたどりついた島で、キットは不思議な少女に出会う。海から聞こえる不気味な叫び声、水中からキットを見あげた顔。島民たちの異常な憎悪。世界でいったいなにが起きているのか? 極限状態で少年を襲う運命は……。カーネギー賞受賞の著者が放つ迫力に満ちた物語。訳者あとがき=金原瑞人
金原瑞人
(カネハラミズヒト )1954年生まれ。翻訳家・法政大学教授。訳書にディレイニー『魔使いの弟子』、『魔使いの呪い』『魔使いの秘密』、ブロック〈ウィーツィ・バット・ブックス〉全5巻プライス『500年のトンネル』(以上東京創元社)、ストラウド『バーティミアス』(理論社)、クラッチャー『アイアンマン』(ポプラ社)、ローズ『ティモレオン』(中央公論文庫)、シアラー『青空のむこう』(求龍堂)、アランハフト『ラスト・ドッグ』(ほるぷ出版)、ウェストール『ブラッカムの爆撃機』(岩波書店)など。エッセイに『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』(牧野出版)、編著書に『12歳からの読書案内』などがある。