カーネギー賞作家の放つ迫力に満ちた物語
少年は、終末の海でひとりの少女に出会った……

『黙示の海』
ティム・ボウラー/金原瑞人・相山夏奏訳
4月刊

 今度の航海は何かがおかしかった。3日前から、毎晩同じ夢を見る。いやな夢だ。それだけじゃない、霧のかなたから不気味な叫び声が聞こえる。

 父さんと母さんと15歳のキット。父さんが破産して、家族ででかける最後の航海。思いっきり冒険するつもりだった。だが楽しいはずの船旅が悪夢に変わった。
 コンパスが使えなくなったかと思うと、今度は海が荒れる。波間を漂う小さな船を拾おうと手をのばしたキッドは、水中に自分そっくりの男の姿を見た。キッドが驚きのあまり操舵をあやまったのが原因で船は難破。一家はやっとの思いで、荒れ果てた島にたどりつく。
 そこで、キットはひとりの不思議な少女に出会う。謎めいた少女は、ちらりと姿を見せるだけで、なにも語らず逃げていった。
 島に出没するキットそっくりの謎の男。排他的な宗教を信じる島民たちがキッドに向ける異常なまでの憎悪。そして悲劇はおこった。キッドが少女を追っているあいだに、島民たちが父さんと母さんをさらっていったのだ……。
 謎めいた少女の正体。両親を救おうと行方を捜すキッドと、その前に立ちふさがる島民たち。そしてキッドそっくりの男は、敵なのか味方なのか?

 極限状態のなかで少年を襲う運命は? この世界でいったいなにが起きているのか……。
 カーネギー賞受賞『川の少年』の著者ティム・ボウラーが放つ、迫力に満ちた物語。

(2007年3月5日/2007年4月5日)