小島に一人で暮らす元医師のフレドリックは、就寝中の火事で住む家も家財道具もすべて失った。その後警察の調べで火事の原因が放火であったことが判明、フレドリックは保険金目当ての自作自演だと疑いをかけられてしまう。ところが、火事はそれだけではおさまらなかった。付近の群島の家々が続けて放火されたのだ……。幸い死者は出ていない。犯人の目的はどこにあるのか? 〈刑事ヴァランダー・シリーズ〉で人気の北欧ミステリの帝王最後の作品。CWAインターナショナルダガー受賞。
ヘニング・マンケル
1948年スウェーデン生まれ。作家、舞台監督、劇作家。〈刑事ヴァランダー・シリーズ〉の第1巻『殺人者の顔』でガラスの鍵賞を、第5巻『目くらましの道』でCWA賞のゴールドダガーを、更に Svenska gummistövlar で同賞のインターナショナルダガーを受賞。他に児童書やエッセイなども書いた、人気実力ともに北欧ナンバーワンの作家である。2015年没。
柳沢由実子
(ヤナギサワユミコ )1943年岩手県生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。ストックホルム大学スウェーデン語科修了。主な訳書に、インドリダソン『湿地』『緑衣の女』『声』『湖の男』『厳寒の町』『印(サイン)』、ヘニング・マンケル『殺人者の顔』『目くらましの道』『北京から来た男』、マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー『刑事マルティン・ベック 笑う警官』、ドロシー・ギルマン『悲しみは早馬に乗って』、アリス・ウォーカー『勇敢な娘たちに』、カーリン・アルヴテーゲン『満開の栗の木』などがある。