ついに隣国ハフンによる侵攻が始まった。六連合政府が迎撃に差し向けた大艦隊を、反逆者ジェダオは大胆にも乗っ取る。しかしジェダオは宿敵である六連合とではなく、ハフンと戦うことを宣言する。はたしてジェダオの思惑は? 数学と暦により物理法則を超越する科学体系〈暦法〉が存在する世界を舞台にした、ローカス賞受賞の魔術的宇宙SF『ナインフォックスの覚醒』続編、満を持して登場! 2018年ヒューゴー賞候補作。解説=大森望
ユーン・ハ・リー
1979年ヒューストン生まれ。韓国系アメリカ人であり、幼少期をテキサス州と韓国の両方で過ごす。コーネル大学で数学を専攻し、スタンフォード大学で数学の修士号を取得。初長編『ナインフォックスの覚醒』(2016)でローカス賞第一長編部門受賞、ヒューゴー賞・ネビュラ賞候補となる。シリーズ第2部の『レイヴンの奸計』(2017)と第3部『蘇りし銃』(2018)はヒューゴー賞候補となった。2020年、長編Dragon Pearl(2019)でローカス賞YA部門とミソピーイク賞児童書部門を受賞。FtMのトランスジェンダー男性でクィアであり、夫とともにルイジアナ州で暮らしている。
赤尾秀子
(アカオヒデコ )津田塾大学数学科卒業。英米文学翻訳家。主な訳書に、レッキー《叛逆航路》シリーズ、ハインライン『天翔る少女』、マキャフリー『だれも猫には気づかない』、マキャフリー&ラッキー『旅立つ船』、ヴィンジ『レインボーズ・エンド』ほか多数。