塩の霧で立ち枯れした木々と、狂暴化した動植物に囲まれた地、キヌーヌ。剏造主パナードの手で最強の異形へと変えられ、殺人を強制されていた青年・金目(キンメ)は、彼を騎士と呼び慕う少女シエラと出会ったことで自我を取り戻す。主への復讐のため、異形のものたちに戦いを挑む金目。しかしシエラに内在する、進化に繋がる世界の秘密が、二人を想像もし得ない運命に導こうとしていた。稀有の想像力に彩られた、著者の第1長編。解説=山田正紀
菅浩江
(スガヒロエ )1963年京都府生まれ。81年、短編「ブルー・フライト」でデビュー。89年に『ゆらぎの森のシエラ』で長編デビュー。91年、92年の『メルサスの少年』「そばかすのフィギュア」で第23回、第24回の星雲賞を連続受賞。さらに、2000年、『永遠の森』で第54回日本推理作家協会賞、第32回星雲賞を受賞。他の著作に『そばかすのフィギュア』『おまかせハウスの人々』『プリズムの瞳』など多数。