かつては最先端機種として、期待を一身に集めていた人型ロボット〈ピイ・シリーズ〉。しかし現在ではその役割を終え、絵を描くだけの無用の存在として各地を放浪していた。恋人との仲に悩む女性、周囲にとけ込めない中年男、人生を踏み外しかけた青年──ピイと出会った人々は、姿だけを同じくするロボットの瞳に何を見るのか。彼らとの出会いを通して揺らぐ人々のこころを柔らかに描き出す、すぐそこの未来の、祈りに満ちた物語。解説=三村美衣
「レリクト・クリムゾン」
「クラウディ・グレイ」
「ミッドナイト・ブルー」
「シュガー・ピンク」
「メモラブル・シルバー」
「ミラーリング・ブラック」
「エバー・グリーン」
「トワイライト・パープル」
「サティスファイド・クリア」
菅浩江
(スガヒロエ )1963年京都府生まれ。81年、短編「ブルー・フライト」でデビュー。89年に『ゆらぎの森のシエラ』で長編デビュー。91年、92年の『メルサスの少年』「そばかすのフィギュア」で第23回、第24回の星雲賞を連続受賞。さらに、2000年、『永遠の森』で第54回日本推理作家協会賞、第32回星雲賞を受賞。他の著作に『そばかすのフィギュア』『おまかせハウスの人々』『プリズムの瞳』など多数。