これこそ、SFだけが流すことのできる涙。
●小松左京氏推薦――「未だ終わらない核の恐怖。21世紀を生きる若者たちに、ぜひ読んでほしい作品だ」
第三次世界大戦が勃発、放射能に覆われた北半球の諸国は次々と死滅していった。かろうじて生き残った合衆国原潜〈スコーピオン〉は汚染帯を避けオーストラリアに退避してきた。ここはまだ無事だった。だが放射性物質は確実に南下している。そんななか合衆国から断片的なモールス信号が届く。生存者がいるのだろうか? 一縷の望みを胸に〈スコーピオン〉は出航する。迫真の名作。訳者あとがき=佐藤龍雄/解説=鏡明
*映画『渚にて』(1959年/スタンリイ・クレイマー監督)原作
*テレビ映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』(2002年/ラッセル・マルケイ監督)原作
ネヴィル・シュート/ネビル・シュート
1899年ロンドン生まれの、英国冒険小説界の雄。航空機設計者として活躍するかたわら、1929年には小説家デビュー。『パイド・パイパー』は中期の代表作とされる。SFの代表作『渚にて』は2度にわたって映像化された。49年にオーストラリアに移住。1960年歿。
佐藤龍雄
(サトウタツオ )1954年生まれ。幻想文学翻訳家。主な訳書に、ワイリー&バーマー『地球最後の日』、ディック『あなたをつくります』『未来医師』、シュート『渚にて』ほか多数。