●米澤穂信氏推薦――「ひとしずくもたらされる善意。その尊さが、胸に迫る。」
●宮部みゆき氏推薦――「気骨あるおじいちゃんと、健気で可愛い 子供たちの大冒険。たまりません。」
●池澤夏樹氏推薦――「老いて無力な主人公が(…)危機にいかに対処して、子供たちを安全な国まで連れてゆくか。冒険小説というのは危難の設定が鍵だが、この話はそこのところがうまくできている。」(週刊文春2002年7月25日号より)
フランスの田舎道でパンクのため立ち往生したバスは、ドイツ軍の編隊の機銃掃射を受けて動けなくなった。これから先は歩くしかない。老イギリス人は、やむなくむずかる子供たちの手を引いた。故国を目差して! 戦火広がるフランスを、機知と人間の善意を頼りに、徒手空拳の身でひたすらイギリス目差して進む老人と子供たち。英国冒険小説界の雄が贈る感動の1編。訳者あとがき=池央耿/解説=北上次郎
ネヴィル・シュート/ネビル・シュート
1899年ロンドン生まれの、英国冒険小説界の雄。航空機設計者として活躍するかたわら、1929年には小説家デビュー。『パイド・パイパー』は中期の代表作とされる。SFの代表作『渚にて』は2度にわたって映像化された。49年にオーストラリアに移住。1960年歿。
池央耿
(イケヒロアキ )1940年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。英米文学翻訳家。主な訳書に、ドン・ペンドルトン「マフィアへの挑戦」シリーズ、アシモフ「黒後家蜘蛛の会」1〜5、ニーヴン&パーネル「神の目の小さな塵」、ホーガン「星を継ぐもの」ほか多数。