マイスター・ホラを名乗る者の声に導かれ、2018年から1960年へタイムトラベルした加茂。瀕死の妻を救うには、彼女の祖先を襲った『死野の惨劇』を阻止する必要があるというのだ。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘では、絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々が起こる。果たして、加茂は竜泉家の一族を呪いから解き放つことができるのか。第29回鮎川哲也賞受賞作。解説=辻真先
方丈貴恵
(ホウジョウキエ )1984年、兵庫県生まれ。京都大学卒。2019年『時空旅行者の砂時計』で第29回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。長編第二作の『孤島の来訪者』は「2020年SRの会ミステリーベスト10」第1位に、第三作『名探偵に甘美なる死を』は第23回本格ミステリ大賞の候補に選出されている。他の著書に『アミュレット・ホテル』がある。