野原のまんなかにある秋葉図書館。のどかなこの図書館でも季節はうつろい、新人司書・文子の仕事ぶりも板についてきた。だが相変わらず利用者はあれこれ持ち込み、文子を悩ませる。絵本にお菓子に料理に……とさまざまな謎を、本や先輩司書の力を借りて見事解決を目指すのだけれど。そんななか、お隣の地所から驚くべきものが発見され──。本好きに捧げるやさしい図書館ミステリ。解説=青井夏海
森谷明子
(モリヤアキコ )神奈川県生まれ。2003年、紫式部を探偵役にした王朝ミステリ『千年の黙(しじま) 異本源氏物語』で第13回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。卓越した人物描写とストーリーテリングで高い評価を受ける。著書に、『千年の黙』に続く〈王朝推理絵巻〉シリーズの『白の祝宴』『望月のあと』、図書館司書の経験を活かした〈秋葉図書館の四季〉シリーズの『れんげ野原のまんなかで』『花野に眠る』『星合う夜の失せもの探し』の他、『春や春』『七姫幻想』『深山に棲む声』『涼子点景1964』『葛野(かどの)盛衰記』『FOR RENT 空室あり』『晴明変生』などがある。