製缶会社に勤める傍らバンド活動をしている茶谷くん。ある日、大株主の実業家の秘書・丸山が、猫缶を開ける時の“音楽的な響き”について話したいと訪ねてきた。なぜか黒白の猫を連れた丸山は、成り行きで茶谷が話した密室からのヨウム失踪事件に興味津々。まるで猫と会話をするように密室の謎を解いていき──。愛すべき猫探偵・ニャン氏の事件簿最新作、6編収録で出来だニャ。
松尾由美
(マツオユミ )1960年石川県生まれ。お茶の水女子大学卒業。89年『異次元カフェテラス』を刊行しデビュー。91年「バルーン・タウンの殺人」がハヤカワSFコンテストに入選。主な著作に〈バルーン・タウン〉シリーズ、〈安楽椅子探偵アーチー〉シリーズ、〈ハートブレイク・レストラン〉シリーズ、『雨恋』『九月の恋と出会うまで』『煙とサクランボ』『花束に謎のリボン』『わたしのリミット』『ニャン氏の事件簿』などがある。