知り合いの編集者から霊能者と誤解され、ある少年の失踪調査を依頼された女性推理作家。気は進まないものの、美形の息子に半ば引きずられるようにして、慣れない探偵活動に着手する。やがて彼女は東北の廃屋で、一枚のフロッピーに巡り合ったが――安住の地を求めて彷徨う少年の姿を通し、「家族」の意味を問い掛ける痛切な心理ミステリ。
矢口敦子
(ヤグチアツコ )北海道生まれ。1991年「谷口敦子」名義で『かぐや姫連続殺人事件』を刊行しデビュー。94年『家族の行方』が第5回鮎川哲也賞最終候補となる。著作は他に『償い』『証し』『あれから』などがある。