わたしが「青蛇(あおへび)」と呼ぶ、どこか心惹かれる男との最初の出会い──それは、元教え子の女性が亡くなった事件を調べてほしいという、さえない男性教師からの依頼がきっかけだった。亡き夫が遺した探偵事務所に持ち込まれる、一筋縄ではいかない依頼の数々。『雪のマズルカ』から、さらに切れ味と凄みを増した女私立探偵・笹野里子の活躍。直木賞作家・芦原すなお渾身の連作短編集。解説=中辻理夫
「青蛇(あおへび)」
「クリスクロス(いきちがい)・六本木
「猫とアリス」
「ディオニュソスの館(やかた)」
「無間奈落(むけんならく)」
芦原すなお
(アシハラスナオ )1949年香川県生まれ。早稲田大学文学部卒、同大学院博士課程中退。86年『スサノオ自伝』でデビュー。90年発表の『青春デンデケデケデケ』で第27回文藝賞、第105回直木三十五賞を受賞。主な著書に『ミミズクとオリーブ』『嫁洗い池』『わが身世にふる、じじわかし』『月夜の晩に火事がいて』『雪のマズルカ』などがある。