有能だが組織に迎合しない昔気質(かたぎ)の刑事・埼玉県警の何森稔(いずもりみのる)は、県内各地を転々とさせられている。車椅子の娘の母親が二階の部屋で殺害された事件、供述弱者の若者が強盗犯と疑われた事件、強盗後に容疑者が記憶喪失となった事件のその後。〈デフ・ヴォイス〉シリーズで人気のキャラクター・何森は、一筋縄ではいかない事件に対峙し、地道な捜査を始める──。スピンオフ第一弾。解説=杉江松恋
丸山正樹
(マルヤママサキ )1961年東京都生まれ。早稲田大学卒。シナリオライターとして活躍ののち、松本清張賞に投じた『デフ・ヴォイス』でデビュー。同作は書評サイト「読書メーター」で話題となり、シリーズ第2弾『龍の耳を君に』、第3弾『慟哭は聴こえない』、第4弾『わたしのいないテーブルで』、シリーズスピンオフ『刑事何森 孤高の相貌』『水まきジイサンと図書館の王女さま』も好評を博す。2021年『ワンダフル・ライフ』で読書メーター OF THE YEAR 2021に選ばれる。2022年『龍の耳を君に』が第17回酒飲み書店員大賞を受賞。他の著作に『漂う子』『ウェルカム・ホーム!』『キッズ・アー・オールライト』がある。