革命前夜のパリで起こった、ある新聞記者の射殺事件。現場を目撃したシャルルは、犯人の正体の解明を名探偵デュパンに依頼した。だが手がかりを持つ人物が次々と殺され、様々な人物の思惑と共に事件は肥大していく。翻弄されるシャルルは、自分も事件に呑まれて殺人を犯してしまったのではないかと疑いだした――。二月革命前後、爛熟の都に蠢く群像を壮大に描く巨匠ポオへの熱いオマージュ! 解説=巽孝之
笠井潔
(カサイキヨシ )1948年東京都生まれ。79年にデビュー作『バイバイ、 エンジェル』で第6回角川小説賞を受賞。 ミステリ作家、伝奇作家として活躍する傍ら、精力的な評論活動を展開。 98年に『本格ミステリの現在』の編者として第51回日本推理作家協会賞を受賞、 2003年には『オイディプス症候群』『探偵小説論序説』で、第3回本格ミステリ大賞を、小説、評論・研究の両部門で受賞。 主な著作は『テロルの現象学』『哲学者の密室』『ヴァンパイヤー戦争』『魔』など。