夏休みの終わり、僕たち桃霞少年探偵団は天空館に招かれた。ここは建築家の西大寺さんが建てたお屋敷だ。西大寺夫妻のお仲間も駆けつけて、少年探偵団に興味津々。みんなで騒がしくも楽しい夕食を終え、大人たちは適宜お酒を過ごした翌朝、なんと車椅子のおじいさんが亡くなっていた! 事故でも自殺でもない、紛う方なき殺人の状況を呈しているのに、百キロを超す巨体を移動させられそうな人はいない。屋敷全体は厳重にロックされていて、外部から侵入したとは考えられない。要するに不可能状況ってやつだ……。著者あとがき=秋梨惟喬/解説=福井健太
秋梨惟喬
(アキナシコレタカ )1962年8月17日岐阜県生まれ。広島大学文学部史学科(東洋史学)卒業。1993年「落研の殺人」が鮎川哲也編『本格推理2』に、1995年「憧れの少年探偵団」が北村薫・宮部みゆき選『推理短編六佳撰』に収録される(ともに那伽井聖名義)。2006年、秋梨名義による「殺三狼」で第3回ミステリーズ!新人賞を受賞。