ひとり小島に住む元医師フレドリックのもとに、37年前に捨てた恋人がやってきた。不治の病に冒された彼女は、白夜の空の下、森に広がる美しい湖に連れていくという約束を果たすよう求めに来たのだ。願いをかなえるべく、フレドリックは島をあとにする。だが、その旅が彼の人生を思いがけない方向へと導く。〈刑事ヴァランダー・シリーズ〉の著者が描く、孤独な男の再生と希望の物語。
ヘニング・マンケル
1948年スウェーデン生まれ。作家、舞台監督、劇作家。〈刑事ヴァランダー・シリーズ〉の第1巻『殺人者の顔』でガラスの鍵賞を、第5巻『目くらましの道』でCWA賞のゴールドダガーを、更に Svenska gummistövlar で同賞のインターナショナルダガーを受賞。他に児童書やエッセイなども書いた、人気実力ともに北欧ナンバーワンの作家である。2015年没。
柳沢由実子
(ヤナギサワユミコ )1943年岩手県生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。ストックホルム大学スウェーデン語科修了。主な訳書に、インドリダソン『湿地』『緑衣の女』『声』『湖の男』『厳寒の町』『印(サイン)』、ヘニング・マンケル『殺人者の顔』『目くらましの道』『北京から来た男』、マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー『刑事マルティン・ベック 笑う警官』、ドロシー・ギルマン『悲しみは早馬に乗って』、アリス・ウォーカー『勇敢な娘たちに』、カーリン・アルヴテーゲン『満開の栗の木』などがある。