見知らぬ病室でジェインは目覚めた。謎の自動車事故から奇跡的に生還したものの、事故前後10日分の記憶を失った彼女。傷ついた心身を癒やす間もなく、元婚約者と親友が空白の期間に惨殺されたこと、自らが容疑者の立場にあることを、ジェインは相次いで知らされる。誰を、何を信用すればいいのか。二転三転する疑惑が読者の心を揺さぶる、ミステリの新女王による鮮烈な第4長編。解説=千街晶之
ミネット・ウォルターズ
1949年、イギリス生まれ。幼少期から頭抜けた読書家であり、雑誌編集者を経て小説家となる。1992年にミステリ第1作『氷の家』を発表。いきなり英国推理作家協会(CWA)最優秀新人賞を獲得する。続いて第2作『女彫刻家』でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)のエドガー賞長編賞、マカヴィティ賞長編賞受賞。1994年『鉄の枷』で、2003年『病める狐』でCWAゴールド・ダガー賞を受賞。名実ともに現代を代表する〈英国ミステリの女王〉として活躍している。
成川裕子
(ナリカワヒロコ )1951年沖縄に生まれる。1975年香川大学経済学部卒業。英米文学翻訳家。主な訳書にウォルターズ「氷の家」「病める狐」「遮断地区」「悪魔の羽根」「カメレオンの影」、フォッスム「湖のほとりで」「晴れた日の森に死す」など。