判型:文庫判
ページ数:400ページ
初版:1975年1月24日
ISBN:978-4-488-12007-8
Cコード:C0197
文庫コード:M-ア-1-9
戦後のわが国に紹介されたミステリ作家のなかで、もっとも広く歓迎されたサスペンス・スリラーの第一人者ウィリアム・アイリッシュの傑作の粋を集めた待望の短編集。大都会のなかの人間の孤独、しのびよる死の影の戦慄、絶望と焦燥にさいなまれる犠牲者等、常に意表をつく技巧と主題の多様性に加えて、作者の独壇場ともいうべき哀切な雰囲気描写と緊迫したサスペンスは永遠に読者を魅了せずにはおかない強烈な磁力を秘めている。本巻には、ニューヨークの高架電車を舞台にした傑作「高架殺人」をはじめ、「わたしが死んだ夜」、ひとつのリンゴにからまる様々な人間模様を描いた異色作「リンゴひとつ」、ウェスタン調の異色作「日暮れに処刑の太鼓が鳴る」、そしてアイリッシュの抒情性をいかんなく発揮した掌編「死ぬには惜しい日」「妻が消える日」など9編を収録。
「高架殺人」
「わたしが死んだ夜」
「リンゴひとつ」
「コカイン」
「夜があばく」
「葬式」
「日暮れに処刑の太鼓が鳴る」
「死ぬには惜しい日」
「妻が消える日」
ウィリアム・アイリッシュ
1903年、アメリカのニューヨーク生まれ。1926年、普通小説Cover Chargeでデビュー。主にコーネル・ウールリッチという名前で創作活動を行い、1940年以降次々とすぐれたミステリを発表する。哀切な雰囲気描写と緊密な文体で、他の追随を許さぬ独自の境地を切り開き、サスペンスの第一人者となった。代表作に『幻の女』『暁の死線』『黒いカーテン』などがあり、短編にも類まれな手腕を発揮している。また『夜は千の目を持つ』「裏窓」など映画化された作品も多い。1968年没。