栃木県北西部の田舎町で、八人の女性が殺害された挙げ句、解体・遺棄されるという事件があった。その十五年後、現場だった犯人の元自宅、通称「バラバラ屋敷」へ肝試しに訪れた五人の中学生は、鍵の掛かった屋敷内を覗いたところ、卓袱台(ちやぶだい)に同級生の生首が置かれているのを発見し……密室化した幽霊屋敷を巡る謎を描く表題作ほか、異界駅に迷い込んだ大学生グループが、密室からの殺人犯消失に遭遇する「にしうり駅の怪談」など、怪談作家・呻木(うめき)叫子が採集した四つの怪奇犯罪譚を収める。
「バラバラ屋敷の怪談」
八人の女性が殺害され、解体された猟奇殺人事件。犯人の死後、施錠されたその自宅から生首が発見される。
「青いワンピースの怪談」
博物館に度々現われる謎めいた十代の少女。彼女が目撃される先では、怪死事件が続いていた。
「片野塚古墳の怪談」
人体に似た数十体の石像が並ぶ災厄の古墳。そこで新たな不可能犯罪が発生する。
「にしうり駅の怪談」
異界駅の噂を調べるうちに消えてしまった友人をさがす大学生グループは、想像を絶する光景を目にし……。
大島清昭
(オオシマキヨアキ )1982年栃木県生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。研究者として幽霊・妖怪について論考を発表するかたわら、2020年、怪異と謎解きのバランスの新しさを高く評価された「影踏亭の怪談」で第17回ミステリーズ!新人賞を受賞。主な著書に『現代幽霊論』『Jホラーの幽霊研究』『影踏亭の怪談』『赤虫村の怪談』『地羊鬼の孤独』『最恐の幽霊屋敷』、共著に〈怪談オウマガドキ学園〉シリーズがある。