三月のある日、世田谷のレストランで爆破事件が起きた。被砥功児(ピート・コージ)が代表を務める榎木探偵事務所に出入りする二十歳の大学生・殿井泰史は、自分と同い年の若者が大勢犠牲となったこの事件に興味を持ち、外国に行ったきりの被砥功児を尻目に、独自に推理を巡らせる。さらに八王子と町田で立て続けに、二十歳の男女が集団で死亡する事件が発生。事務所には世田谷と八王子の事件の犯人を名乗る人物からの挑戦状が届くが……。二十歳の若者たちを巡る三つの事件の関連性と、犯人の目的は果たして? 鮎川賞受賞作家が描く、手に汗握る展開と、驚愕のラストが秀逸な長編ミステリ。
安萬純一
(アマンジュンイチ )1964年東京都生まれ。東京歯科大学卒。2010年、『ボディ・メッセージ』で第20回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。著作は他に、『ガラスのターゲット』『ポケットに地球儀』『モグリ』『青銅ドラゴンの密室』『王国は誰のもの』などがある。19年刊行の『滅びの掟 密室忍法帖』は、第20回本格ミステリ大賞の候補となる。