第19回鮎川哲也賞受賞作
ポチこと須川くんが、高校入学後に一目惚れしたクラスメイト。不思議な雰囲気を持つ女の子・酉乃初は、実は凄腕のマジシャンだった。放課後にレストラン・バー『サンドリヨン』でマジックを披露する彼女は、須川くんたちが学校で巻き込まれた不思議な事件を、抜群のマジックテクニックを駆使して鮮やかに解決する。それなのに、なぜか人間関係には臆病で、心を閉ざしがちな酉乃。はたして、須川くんの恋の行方は──。学園生活をセンシティブな筆致で描く、“ボーイ・ミーツ・ガール” ミステリ。
小説的な技術性は候補作中もっとも高い。──笠井潔
高校を舞台にしながら、筆致から感じられるのは若さ以上にむしろ《老練》。──北村薫
赤いリボンのかかったケーキの小箱のように愛らしい作品。文章の巧みさと、終始発散される吸引力の強さは、候補作中随一。──島田荘司
『うる星やつら』のあたるとラムを連想させられた。これは「日常の謎」というよりも、ちょっとビターでスイートなラブコメではないのか。なにしろセンスがいい。──山田正紀
「空回りトライアンフ」
「胸中カード・スタッブ」
「あてにならないプレディクタ」
「あなたのためのワイルド・カード」
相沢沙呼
(アイザワサコ )1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。マジックとミステリが融合した作風で人気を博す。その他の著作として『ロートケプシェン、こっちにおいで』『卯月の雪のレター・レター』『マツリカ・マジョルカ』『ココロ・ファインダ』『マツリカ・マハリタ』『雨の降る日は学校に行かない』『スキュラ&カリュブディス─死の口吻─』『緑陽のクエスタ・リリカ─魂の彫塑─』がある。