この子はあたしたちが面倒を見る。よそにはやらないよ――千里眼を持つ女家長マーサの決断により、赤ん坊はヴァイン家の八人の女たちに育てられることになった。フランクと名づけられた男の子は、戦争の残した傷跡から立ち上がろうとする街で、一風変わった一族に囲まれて大きくなってゆく。生と死のさまざまなかたちを見つめる家族の姿を、英国幻想小説界の巨匠が鮮やかに描き上げた、世界幻想文学大賞受賞作。
市田泉
(イチダイヅミ )1966年生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒。英米文学翻訳家。訳書にジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』、キャロル『薪の結婚』、サマター『図書館島』、ジョイス『人生の真実』、ヴクサヴィッチ『月の部屋で会いましょう』(岸本佐知子と共訳)他多数。