【 最 新 刊 】
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■ 第50回配本(2009年2月刊)
『最上階ペンタグラム』南園律
企業犯罪の潜入捜査を得意とする海坂理歌は、優良コンサルティング会社の自称・ホープ。クライアントから高評価をもらって、ボーナスにはあれとあれを買って……そんな彼女が、潜入先で殺人事件に巻き込まれた。無謀な推理を働かせる海坂を尻目に、とある男が真相をあぶりだす。大学病院の医局で、大企業の社長秘書室で、はたまたストーカー捜査の最中に、そして社員旅行中のハワイで、着せ替え探偵・海坂が遭遇した事件の顛末。
ユーモアあふれる期待の新人、堂々デビュー!
南園律(みなぞの・りつ)
覆面作家。第三回ミステリーズ!新人賞最終候補となった「最上階ペンタグラム」を大幅改稿、連作化し本書でデビューを飾る。抜群のリーダビリティと、上品なユーモアのある作風が期待の新鋭。
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■ 第49回配本(2008年11月刊)
『インディゴの夜 ホワイトクロウ』加藤実秋
スタイリッシュで、個性的なホストが集うclub indigoはオープン3年目を迎え、リニューアルを決定。ある伝手で有名インテリアデザイナーに内装を依頼した。改装工事の間、店は仮店舗で営業することになる。そんなバタバタの中、ホスト達はそれぞれトラブルに見舞われて……。
ジョン太、アレックス、犬マンがプライベートで巻き込まれた事件の顛末に加え、indigoリニューアルに絡む騒動まで勃発。ますます快調なシリーズ第3弾。ホスト探偵団は、今日も夜の街を駆け抜ける!
加藤実秋(かとう・みあき)
1966年東京都生まれ。2003年、ホストクラブを舞台にしたミステリ「インディゴの夜」が選考委員各氏に絶賛され、第10回創元推理短編賞を受賞。2005年受賞作を含む連作短編集『インディゴの夜』を発表。若者の“いま”を描写したスタイリッシュでテンポのよい作風が話題となる。著作は他に『インディゴの夜 チョコレートビースト』『モップガール』がある。本書はデビューシリーズ第3弾となる。
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■ 第48回配本(2008年9月刊)
『真夜中のタランテラ』麻見和史
野外劇場の搬入口近くのベンチで発見された、「義足のダンサー」として有名だった桐生志摩子の奇妙な死体。現場は、彼女が自らの人生を重ねてきた、アンデルセンの童話『赤い靴』になぞらえられたような状況であった。健常だった右足は切断されて行方不明。そして彼女の左義足と、持ち主不明の謎の右義足が、彼女のトレードマークであった赤い靴を履かされ、舞台に放置されていた。まるで義足が、赤い靴の呪いで踊ったかのように――。
彼女の夫から相談を受け、義肢装具士の香坂徹と妹の奈緒、そして再生医療の研究者である鴇圭一郎は調査を開始するが、事件は予想もしない展開を見せる……。
鮎川哲也賞受賞作家による、渾身の傑作ミステリ!
麻見和史(あさみ・かずし)
1965年千葉県生まれ。立教大学文学部卒。2006年、『ヴェサリウスの柩』で第16回鮎川哲也賞を受賞してデビュー。リーダビリティある筆致によって、医学部解剖学教室で展開される壮大な復讐劇を描き、注目を集める。今後の活躍が期待される新鋭。
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■ 第47回配本(2008年8月刊)
『人魚は空に還る』三木笙子
「しずくは観覧車に乗りたい」富豪の夫人に売られてゆくことが決まり、最後の願いを口にした見世物小屋の人魚は、観覧車の客車から泡となって消えた。水神の怒りに触れて浅草は水中に沈んだのか。いや、地上という水底から人魚がその身を縛るもののない空へと還っていったのか――(表題作)。
心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きるふたりの青年の交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれるデビュー作品集。
三木笙子(みき・しょうこ)
1975年秋田県生まれ。第二回ミステリーズ!新人賞の最終候補作を改稿し連作化した本書でデビューを飾る。あたたかな人物描写と軽妙な筆さばきが印象的な期待の新鋭。 |
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■ 第46回配本(2008年7月刊)
『漂流巌流島』高井忍
宮本武蔵は決闘に遅れなかった!? 赤穂浪士は浅野内匠頭が殿中刃傷に及んだ理由を知らなかった!? 近藤勇は池田屋事件を無理やり起こしていた!?
人使いの荒い監督に強引に引きずり込まれ、チャンバラ映画のプロットだてを手伝う羽目になった主人公。居酒屋で額を寄せ合い、あーでもない、こーでもないと集めた史料を検討すると、巌流島の決闘や池田屋事件などよく知られる歴史的事件の、目から鱗の真相が明らかに……!
綾辻行人・有栖川有栖両氏に絶賛された第二回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む、挑戦的デビュー作品集。
高井忍(たかい・しのぶ)
1975年京都府生まれ。立命館大学産業社会学部卒業。2005年、綾辻行人・有栖川有栖両氏に絶賛され、短編「漂流巌流島」で第2回ミステリーズ!新人賞を受賞。本書がデビュー作。 |
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■ 第45回配本(2008年6月刊)
『誘(いざな)う森』吉永南央
一年前のあの日、香映は自殺してしまった。何の前触れもなく。
未だに妻の死を受け入れられない洋介。不眠症を患った洋介は歩くことで、
この状態から脱しようと試みる。
しかし、彼女の過去の断片が、町のあちこちに散らばっている――。
謎に満ちた妻の過去から、死の真相を探る決意を固める洋介。
自殺の名所と呼ばれる森で、自殺防止のボランティア活動をしていた彼女に、
いったい何が起きたのか。
少しずつ暴かれる真実は、かの森へと洋介を導く。
期待の新鋭が描く精緻なミステリ。
吉永南央(よしなが・なお)
1964年埼玉県生まれ。群馬県立女子大学卒業。2004年、コーヒー豆と和食器の店を営むおばあちゃん探偵の活躍を優美に描いた「紅雲町のお草」で、第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞。2008年1月に受賞作を含む連作短編集『紅雲町ものがたり』を刊行。今作が初の長編作品となる期待の新鋭。 |
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■ 第44回配本(2008年3月刊)
『ショコラティエの勲章』上田早夕里
絢部あかりが勤めている老舗の和菓子店〈福桜堂〉。その二軒先に店をかまえる人気ショコラトリー〈ショコラ・ド・ルイ〉で、不可解な万引き事件が起きた。その事件がきっかけで、あかりはルイのシェフ・長峰と出会う。ボンボン・ショコラ、ガレット・デ・ロワ、新作和菓子、アイスクリーム、低カロリーチョコレート、クリスマスケーキ――さまざまなお菓子をめぐる人間模様と、菓子職人の矜持を描く、小松左京賞作家の鮮やかな力作。
上田早夕里(うえだ・さゆり)
1964年兵庫県生まれ。2003年、長編SF『火星ダーク・バラード』で第四回小松左京賞を受賞してデビューする。宇宙ステーションを舞台にテロリストとの攻防を描いた『ゼウスの檻』を刊行後、第三長編『ラ・パティスリー』では新境地に挑み、記憶喪失の青年を中心に、洋菓子店〈ロワゾ・ドール〉の人間模様を丁寧に描き上げた。細やかな感性と骨太な筆致が魅力のストーリーテラー。 |
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■ 第43回配本(2008年3月刊)
『サトシ・マイナス』早瀬乱
気弱な大学生・稲村サトシは、吉沢カレンとの結婚を報告しようと、自宅で母を待っていた。とはいえ勝気で我儘な母が、偏屈なカレンを快く思うはずがない。どう切り出すか悩むうちになぜか眠ってしまった彼は、隠れていたはずのもう一つの人格「サトシ・プラス」がその間に目覚めて、何事か目論んでいることに気づく。少年時代のサトシをプラスとマイナスに分けた、二十五項目にわたる人格分割リストを回収するため、古書店の駐車場で暮らす友人・オカベのもとを訪れるサトシだが……。欠落した記憶、絵描きだった父の死、全ての鍵を握る「ある人物」――自らの過去を辿りなおす、多重人格者サトシのおかしな探偵行のゆくえは? 江戸川乱歩賞受賞の気鋭が贈る、明るく爽やかな “多重人格”成長小説登場!
早瀬乱(はやせ・らん)
1963年大阪府生まれ。法政大学文学部卒業。2003年、『レテの支流』が第11回日本ホラー小説大賞長編賞の佳作となり、デビュー。06年、『三年坂 火の夢』で第52回江戸川乱歩賞を受賞。明治時代の都市風景と登場人物を魅力的に活写した探偵小説の登場に、一躍注目が集まる。本作では明るく爽やかな成長小説という新境地に挑戦した。他の著作に『サロメ後継』『レイニー・パークの音』がある。 |
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■ 第42回配本(2007年11月刊)
『ランボー・クラブ』岸田るり子
A(アー)は黒 E(ウー)は白 I(イー)は赤 U(ユー)は緑 O(オー)は青
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フランス語など習ったこともない不登校中学生の僕が、なぜ、サイト〈ランボー・クラブ〉のトップページに掲げられたフランス語の詩を読めるのだろうか? 僕はいったい誰なのか? ある日、そのランボーの詩が書き換えられ、その詩が暗示する殺人事件が……。
色覚障害の少年をめぐる事件の驚くべき真相。鮎川哲也賞受賞作家が贈る渾身の本格ミステリ。
岸田るり子(きしだ・るりこ)
1961年京都市生まれ。魚座。パリ第七大学理学部卒業。2004年に『密室の鎮魂歌(レクイエム)』で第14回鮎川哲也賞を受賞。著作は他に『出口のない部屋』、『天使の眠り』、訳書に『細菌と戦うパストゥール』(共訳)がある。 |
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■ 第41回配本(2007年11月刊)
『ロンド・カプリチオーソ』中野順一
「しばらくのあいだ、新宿西口には近寄らないで」バー〈CLOUD〉のピアノ弾き・タクトは、特殊な予知能力を持つ恋人の花梨からそう忠告を受ける。だが、意地っ張りな性格から敢えて西口に向かったタクトは、そこで一人の女性と出会い――次々と厄介な事件に巻き込まれ始めた! 世界的指揮者の父にかかってきた脅迫電話、友人の不審な行動、突然の襲撃、そして――すべての背景に存在するものとは何なのか? サントリーミステリー大賞受賞作『セカンド・サイト』の主人公が新宿の街を再び縦横無尽に駆け回る、躍動的な青春ミステリ!
中野順一(なかの・じゅんいち)
1967年静岡県生まれ。早稲田大学教育学部卒。2003年、『セカンド・サイト』で第20回サントリーミステリー大賞を受賞、最後の同賞受賞者となる。社会風俗と青春群像を活き活きと描く筆が印象的な気鋭。他の著作に『クロス・ゲーム』がある。 |