《ミステリ・フロンティア》第11回〜第20回配本

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次世代を担う新鋭たちのレーベル《ミステリ・フロンティア》【四六判仮フランス装】

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 ■ 第20回配本(2005年11月刊)
『一週間のしごと』永嶋恵美

一週間のしごと  幼馴染の菜加には拾い癖があった。犬や猫、果てはアルマジロなど、処理に困るものばかり拾ってくるのだ。いつも後始末は恭平の役目。恭平はいつも、「猪突猛進」という言葉を地でゆくかのような菜加の言動に振り回されてばかりいる。
 そんな菜加がまたしても拾ってきたのは――人間の子供。渋谷の雑踏で置き去りにされたのを見て連れてきたのだというが、この行為がのちに恭平の友人・忍や菜加の弟・克己を巻き込んだ上、あんな結末を迎えるなどとは、このときの恭平には予想すらできなかった!
『せん‐さく』『転落』の著者が新たに放つ、青春ミステリの快作!

永嶋恵美(ながしま・えみ)
1964年福岡県生まれ。2000年、ネットを介して知り合った主婦と少年の逃避行に意外な企みを絡めた長編ミステリ『せん‐さく』でデビューする。第3長編『転落』が〈ミステリチャンネル〉2004年度国内ミステリベスト10にランクインするなど、次第に注目を集めつつある俊英。他の著作に『彼方(ニライカナイ)』がある。

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 ■ 第19回配本(2005年9月刊)
『少女には向かない職業』桜庭一樹

少女には向かない職業 島の夏を、美しい、とふいにあたしは思う。
――強くなりたいな。
強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな。

これは、ふたりの少女の凄絶な《闘い》の記録。

桜庭一樹(さくらば・かずき)
1999年、「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン』と改題して刊行)で第1回ファミ通えんため大賞に佳作入選。以降、ゲームなどのノベライズと並行してオリジナル小説を発表。2003年開始の〈GOSICK〉シリーズで多くの読者を獲得し、さらに04年に発表した『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価され、一気に注目の存在となる。作風は多彩で、とりわけ閉塞状況におかれた少女たちの衝動や友情を描いた作品に独自の境地を見せている。本書は著者が満を持して放つ初の一般向け作品。著作は他に『君の歌は僕の歌』『赤×ピンク』『荒野の恋』など多数。

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 ■ 第18回配本(2005年7月刊)
『犬はどこだ』米澤穂信

犬はどこだ  何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。そこで調査事務所を開いた。この事務所〈紺屋S&R〉が想定している業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。
――それなのに開業した途端舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして――いったいこの事件の全体像は?
 犬捜し専門(希望)、二十五歳の私立探偵・紺屋長一郎、最初の事件。『さよなら妖精』で喝采を浴びた著者が新境地に挑んだ青春私立探偵小説!
米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)
1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目され、第3長編『さよなら妖精』は大好評を博した。他の著作に『春期限定いちごタルト事件』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番 「十文字」事件』がある。

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 ■ 第17回配本(2005年7月刊)
『天の前庭』ほしおさなえ

天の前庭  高校生柚乃は、交通事故に遭い、意識不明のまま九年間眠り続ける。九年後、奇跡的に目覚めた彼女は、すべての記憶を失っていた。PC上に残された日記には、ドッペルゲンガーを見た直後に失踪した母のこと、自分そっくりの少女との邂逅など不思議な記述があった。
 謎の女性ツグミさんとは?  ドッペルゲンガー、タイムスリップ、謎の白骨死体……。柚乃に何があったのか? 「ヘビイチゴ・サナトリウム」の著者が贈る傑作ミステリ。
ほしおさなえ
 1995年、群像新人文学賞小説部門優秀作でデビュー後、「群像」(講談社)「すばる」(集英社)などに小説を発表。現代詩人として、詩集『夢網』(思潮社)などもある。2002年、初のミステリ『ヘビイチゴ・サナトリウム』が第12回鮎川哲也賞の最終候補作となり、2003年東京創元社より刊行、詩的でみずみずしい文体で描かれたメタミステリとして評価を得る。

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 ■ 第16回配本(2005年5月刊)
『館島』東川篤哉

館島  巨大な螺旋階段の下に倒れていた当主の死因は、転落死ではなく墜落死だった!? 天才建築家・十文字和臣の突然の死から半年が過ぎ、未亡人の意向により死の舞台となった異形の別荘にふたたび事件関係者が集められたとき、新たに連続殺人が勃発する。嵐が警察の到着を阻むなか、館に滞在していた女探偵と若手刑事は敢然と謎に立ち向かう!
 瀬戸内の孤島に屹立する、銀色の館で起きた殺人劇をコミカルな筆致(!)で描いた意欲作。『密室の鍵貸します』でデビューした気鋭が放つ、大トリックと謎解きの面白さを楽しめる本格ミステリ。
東川篤哉(ひがしがわ・とくや)
 1968年広島県生まれ。岡山大学法学部卒。鮎川哲也編『本格推理』への投稿・入選を経て2002年、光文社新人発掘プロジェクト〈KAPPA‐ONE〉の第一期生として『密室の鍵貸します』で本格的にデビュー。ユーモラスな筆致と本格的な謎解きを合致させた作風を確立し活躍中の気鋭。他の著作に『密室に向かって撃て!』『完全犯罪に猫は何匹必要か?』『学ばない探偵たちの学園』がある。

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 ■ 第15回配本(2005年4月刊)
『HEARTBEAT(ハートビート)』小路幸也

HEARTBEAT  優等生の委員長と不良少女の淡い恋。できすぎたシチュエーションかもしれないけれど、すべてはそこから始まった。彼女が自力で自分の人生を立て直すことができたなら、10年後、あるものを渡そう――そして10年が過ぎ、約束の日がやってきた。しかし彼女は姿を見せず、代わりに彼女の夫と名乗る人物が現われる。彼女は3年前から行方がわからなくなっていた。居場所を捜し出そうと考えたとき、協力者として僕の脳裏にひとりの同級生が思い浮かぶ。かつて僕に、ブックマッチの格好良い火の点け方を教えてくれた男が――
 約束を果たすため、ニューヨークの〈暗闇〉から帰ってきた青年が巡り合う少年少女たち、そして最高の「相棒」。期待の俊英が放つ、約束と再会の物語。
小路幸也(しょうじ・ゆきや)
 1961年北海道生まれ。広告制作会社退社後、ゲームシナリオの執筆に携わる。2003年、『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で第29回メフィスト賞を受賞してデビュー。少年たちを主人公にしたノスタルジックな味わいのファンタジー、あるいは青年たちを活写した青春小説の書き手として注目を集める。他の著作に『高く遠く空へ歌ううた pulp-town fiction』『Q.O.L.』『そこへ届くのは僕たちの声』がある。

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 ■ 第14回配本(2005年4月刊)
『砂楼に登りし者たち』獅子宮敏彦

砂楼に登りし者たち  どことなく貧相に見える牛に乗り、弟子の若者を連れて諸国を旅する小柄な老人。頭にすっぽりと頭巾を被った、達磨の座像を思わせるこの老人こそ、天下一の名医の呼び声も高い残夢である。しかしこの残夢、行く先々で怪事件にばかり巡り合う。合戦の最中に密室から消失した姫君、不可能状況下の刺殺事件、忍者軍団の死闘の裏に潜むからくり……。
 室町幕府崩壊前夜、諸国を放浪する伝説の医師の名推理。第10回創元推理短編賞受賞の気鋭が満を持して放つ、トリックへの情熱にあふれた伝奇的連作本格推理!
獅子宮敏彦(ししぐう・としひこ)
 奈良県生まれ。龍谷大学卒。かつて別名義でオール讀物推理小説新人賞を受賞。2003年には、架空世界の中で起きた毒殺事件の謎を解く「神国崩壊」で第10回創元推理短編賞を受賞する。不可能犯罪的シチュエーションとトリックの創出に意欲的な期待の新鋭。本書が本格的なデビュー作となる。

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 ■ 第13回配本(2005年4月刊)
『ギブソン』藤岡真

ギブソン  果たして彼が向かったのは右の道か、左の道か、それとも正面の道か? ――八月二日午前六時、待ち合わせの場所に高城秀政は現れず、そのまま失踪してしまった。敬愛する上司の行方を追う日下部の前に次々現れる、奇矯な人びとと不可思議な事実。町内に出没する謎の消防車、血痕を残して消えた老人、生き別れの娘、正体不明の脅迫者。それぞれがパズルのピースのように結びつき始めても、杳として知れない高城の行方。大量のレッド・へリングに翻弄されながら、遂に日下部が直面した驚愕の真実とは?
『ゲッベルスの贈り物』『六色金神殺人事件』の鬼才が四年の沈黙を破って放つ、待望の新作長編!
藤岡真(ふじおか・しん)
 1951年鎌倉市生まれ。早稲田大学理工学部卒。92年、「笑歩」で第10回小説新潮新人賞を受賞、筒井康隆・井上ひさし両選考委員の賞賛を受ける。93年の初長編『ゲッベルスの贈り物』でミステリ界に進出、大胆なトリックと鮮烈な奇想で好評を博す。著書は他に『六色金神殺人事件』がある。またカンヌ国際広告祭金賞、ACCグランプリなどを獲得したCMディレクターとしても知られている。

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 ■ 第12回配本(2005年2月刊)
『インディゴの夜』加藤実秋

インディゴの夜 「クラブみたいなハコで、DJやダンサーみたいな男の子が接客してくれるホストクラブがあればいいのに」――すべては女性ライター・高原晶が、大手出版社の編集者・塩谷に漏らした何気ない一言から始まった。謎めいた美形の敏腕マネージャー・憂夜の助力を得て、高原と塩谷は、一風変わったホストクラブ〈club indigo〉を渋谷の片隅に開業したが、順調な経営とうらはらに常連客が殺され、店のナンバーワンに疑いがかかる。晶は個性豊かなホストの面々とともに、にわか探偵団を結成、真犯人捜しに奔走する! 第10回創元推理短編賞受賞の表題作がシリーズ化。スタイリッシュでウイットあふれる新世代探偵小説、ここに登場。
加藤実秋(かとう・みあき)
 1966年東京都生まれ。2003年、ホストクラブを舞台にしたミステリ「インディゴの夜」が選考委員各氏に絶賛され、第10回創元推理短編賞を受賞。スタイリッシュな描写と、エンターテインメント性を前面に打ち出した作風で注目を集める。本書が単行本デビュー作となる。

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 ■ 第11回配本(2005年2月刊)
『れんげ野原のまんなかで』森谷明子

れんげ野原のまんなかで  秋庭市のはずれもはずれ、ススキばかりがおいしげる斜面のど真ん中に立つ秋庭市立秋葉図書館、そこが文子の仕事場だ。無類の本好きである先輩司書の能瀬や日野らと、日がな一日あくびをしながらお客さんの少ない図書館で働いている。ところがある日を境に、職員の目を盗んで閉館後の図書館に居残ろうとする少年たちが次々現われた。いったい何を狙っているのか?(第一話 霜降――花薄、光る。)
 のどかな図書館を優しく彩る、季節の移り変わりとささやかな謎。『千年の黙 異本源氏物語』で第13回鮎川哲也賞を受賞した期待の新鋭が放つ、本好き、図書館好きに捧げる受賞第1作。
森谷明子(もりや・あきこ)
 神奈川県生まれ。2003年、紫式部を探偵役にした王朝ミステリ『千年の黙 異本源氏物語』で第13回鮎川哲也賞を受賞。卓越した人物描写とストーリーテリングで高い評価を受ける。本書は著者初の現代小説となる。現在は『千年の黙』の続編を構想中。

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