《ミステリ・フロンティア》第1回〜第10回配本

 ミステリ・フロンティア・ロゴ ミステリ・フロンティア

《ミステリ・フロンティア》は、創立50周年を迎える東京創元社が贈る、新鋭による最前線のミステリ叢書です。今後どのような作家になるか、どのような活躍をするか予測不能、まさに未知数の可能性を秘めた、正真正銘の新星たちが集まるレーベルです。【四六判仮フランス装】

●〈ミステリ・フロンティア〉の続刊はこちらをご覧ください。
●〈ミステリ・フロンティア〉第11回〜第20回配本の既刊はこちらをご覧ください。
●〈ミステリ・フロンティア〉第21回〜第30回配本の既刊はこちらをご覧ください。
●〈ミステリ・フロンティア〉第31回〜第40回配本の既刊はこちらをご覧ください。

 ■ 第10回配本(2004年11月刊)
『BG、あるいは死せるカイニス』石持浅海

BG、あるいは死せるカイニス  天文部の合宿の夜、学校で殺害されたわたしの姉。男性化候補の筆頭で、誰からも慕われていた優等生の姉が、どうして? しかも姉は誰かからレイプされかけたような状態で発見されたが、男が女をレイプするなんて、この世界では滅多にないことなのだ。捜査の過程で浮かび上がってきた《BG》とは果たして何なのか? そして事件は連続殺人へ発展する――。全人類生まれたときはすべて女性、のちに一部が男性に転換するという特異な世界を舞台に繰り広げられる奇想の推理。話題作『月の扉』『水の迷宮』の著者が放つ、破天荒な舞台と端正なロジックを堪能できる学園ミステリの意欲作。
石持浅海(いしもち・あさみ)
 1966年愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。鮎川哲也編『本格推理』への投稿・入選を経て2002年、光文社新人発掘プロジェクト〈KAPPA-ONE〉の第一期生として『アイルランドの薔薇』で長編デビュー。翌年発表の第2長編『月の扉』で日本推理作家協会賞候補になる。端正なロジックに彩られた本格ミステリの書き手として注目の存在。他の著書に『水の迷宮』がある。


***

 ■ 第9回配本(2004年10月刊)
『アルファベット・パズラーズ』大山誠一郎

アルファベット・パズラーズ  東京、三鷹市の井の頭公園の近くに〈AHM〉という四階建てのマンションがある。その最上階に住むオーナー・峰原卓の部屋に集まるのは、警視庁捜査一課の刑事・後藤慎司、翻訳家・奈良井明世、精神科医・竹野理絵の3人。彼らは紅茶を楽しみながら、慎司が関わった事件の真相を解明すべく推理を競う。毒殺されるという妄想に駆られていた婦人を巡る殺人事件、指紋照合システムに守られた部屋の中で発見された死体、そして三転四転する悪魔的な誘拐爆殺事件――鋭利なロジックと精緻なプロット、そして意外な幕切れ。本格ミステリ界期待の俊英が満を持して放つパズラーの精華!
大山誠一郎(おおやま・せいいちろう)
 1971年埼玉県生まれ。京都大学在学中は推理小説研究会に所属。2002年、e-NOVELSにて創作短編「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」を発表。本書が本格的なデビューとなる。ロジカルな本格ミステリの書き手として今後の活躍に期待できる俊英。訳書にニコラス・ブレイク『死の殻』(創元推理文庫)、エドマンド・クリスピン『永久の別れのために』(原書房)がある。

***

 ■ 第8回配本(2004年10月刊)
『太陽と戦慄』鳥飼否宇

太陽と戦慄  導師と名乗る男に拾われたストリート・キッズたちはロックバンド〈ディシーヴァーズ〉を結成する。導師の危険思想に多大な影響を受けつつバンドの練習に精を出す彼らが初のライヴを敢行したとき、楽屋で惨劇が勃発する。――そして10年後。列車脱線事故、百貨店炎上、ホテル爆破などの大規模な惨事の現場に残される、かつてのメンバーの死体と動物の玩具。玩具には何の意味が込められているのか? そして犯人は誰なのか? 横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞した鬼才による、アナーキーな本格ミステリ誕生!
鳥飼否宇(とりかい・ひう)
 1960年福岡県生まれ。2001年、『中空』で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞してデビュー。『非在』『密林』などの〈観察者〉探偵・鳶山シリーズを書き継ぐ一方、『昆虫探偵』『本格的 死人と狂人たち』のような異色作を発表し、個性的な書き手として注目されている。著作は他に『桃源郷の惨劇』がある。

***

 ■ 第7回配本(2004年6月刊)
『消えた山高帽子 チャールズ・ワーグマンの事件簿』翔田 寛

消えた山高帽子  西洋幽霊と日本の幽霊が連続して目撃された怪異。白装束を纏って剣を腹に突き立てていた吝嗇な英国人。歌舞伎役者を巻き込んだ山高帽子盗難の謎。鉄道開通に沸く観衆の中で叫び声を上げた女の悲しい過去。教会堂内で起きた密室状況下の怪死事件。――明治6年、横浜居留地に英国人名探偵、颯爽と登場。愛すべき医師ウィリスをワトスン役に、西洋と日本の文化が交錯する不可思議な事件の数々を鮮やかに解決へと導く新聞記者ワーグマンの活躍を描いた、小説推理新人賞受賞作家初の連作ミステリ。
翔田寛(しょうだ・かん)
 1958年東京都生まれ。2000年、「影踏み鬼」で第22回小説推理新人賞を受賞してデビュー。同年発表の受賞第一短編「奈落闇恋乃道行」で早くも日本推理作家協会賞にノミネートされる。謎解きの面白さと余情とを融合させた独自の作風を持ち、作品数は少ないながらも高い評価を受けている。本書は著者初のシリーズもの。著作に作品集『影踏み鬼』がある。

***

 ■ 第6回配本(2004年5月刊)
『シェルター 終末の殺人』三津田信三

シェルター 終末の殺人  東京創元社から依頼された長編のため、三津田信三は核シェルターの取材に赴く。奇矯な富豪が自邸の庭に造り上げた生垣迷路、その下にシェルターの入り口は用意されていた。迷路を抜け、他のシェルター見学者たちと入り口の前に立った途端、空に巨大な閃光が。慌てて中に逃げ込んだ見学者たち。外の様子はまったく分からない。果たしてあの巨大な光は核爆発だったのか。滅亡の予感に怯える彼らを更に連続密室殺人が襲う。何の動機も発生するはずのない初対面の人間同士のなかで、いったいなぜ殺人は続くのか――。極限状況下での圧倒的な恐怖と謎解きを描いた、鬼才による終末のミステリ。
三津田信三(みつだ・しんぞう)
 〈ワールド・ミステリー・ツアー13〉〈日本怪奇幻想紀行〉などの叢書を企画・編集し、ホラー・ブームの一翼を担う。2001年に『ホラー作家の棲む家』で作家としてデビューし、第2長編『作者不詳 ミステリ作家の読む本』では謎解きと怪奇趣味の融合を成し遂げた。ミステリ・ホラーの両方に造詣が深く、恐怖色濃厚なミステリの書き手として活動。他の著作に『蛇棺葬』『百蛇堂 怪談作家の語る話』がある。

***

 ■ 第5回配本(2004年5月刊)
『誰もわたしを倒せない』伯方雪日

誰もわたしを倒せない  後楽園のゴミ捨て場に刃物で胸を一突きされて捨てられていた死体は、襟足から後頭部にかけての髪が、乱雑に、地肌が見えるほど切られていた。事件を担当するのは富坂署の三瓶と城島のコンビ。格闘技ファンの城島の指摘で、被害者がカタナというマスクマンではないか、という可能性が浮かび上がる。プロレスも格闘技も両方こなすという新しいスターだった。そして、さらに殺人が……。格闘技を真っ向から取り上げた初の本格ミステリ。
伯方雪日(はかた・ゆきひ)
 1970年4月29日京都市生まれ。京都大学工学部精密工学科卒。在学中、シネマ研究会で自主映画を制作していた。卒業後、書店勤務のかたわら小説を書きはじめ、『創元推理21』'03年春号に「必然なる偶然」を発表。本作が初の単行本である。格闘技と映画と本を愛する。

***

 ■ 第4回配本(2004年4月刊)
『百万の手』畠中 恵

百万の手  中学生、音村夏貴は3年前に父親が交通事故で死んでから、彼を溺愛する母と二人暮らしだ。ときどき過呼吸の発作に見舞われる彼の心の支えは、親友、正哉の存在だった。その正哉が焼死した。両親を助けようと火のなかに飛び込んでいったのだ。不審火だった。自分の目の前で、燃えさかる火に呑まれる親友を助けられなかったことを嘆き悔やむ夏貴だったが、彼の手のなかの携帯から、死んだ親友の声が……。そして画面には、死んだはずの彼の顔が浮かび上がった。正哉が残していった携帯だ。親友は、不審火の真相を調べてほしいと語りかける。家のなかに火の気はなかった。しかも、消火活動も終盤に近づいて、なお激しく燃えあがった不可解な火事。放火なのか? なぜ正哉はそして彼の両親は死ななければならなかったのか? 携帯から語りかける友人との二人三脚で、夏貴が探り出した驚愕の真相とは……? 日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作『しゃばけ』とその続編『ぬしさまへ』で時代物作家として地歩を固めた畠中恵が初めて挑戦した現代小説。傑作ファンタスティック・ミステリ。
畠中 恵(はたけなか・めぐみ)
 1959年高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒業後、書店員などを経て88年に小学館の漫画雑誌でデビュー。漫画作品を発表しながら作家を志し、2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。『ぬしさまへ』で、さらに多くの読者を獲得。

***

 ■ 第3回配本(2004年2月刊)
『さよなら妖精』米澤穂信

さよなら妖精  1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやってきた少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きがはじまる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに――。忘れがたい余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。気鋭の新人が贈る清新な力作。
米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)
 1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞奨励賞(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞しデビュー。青春小説としての魅力と謎解きの面白さを兼ね備えた作風で注目される。他の著書に『愚者のエンドロール』がある。

***

 ■ 第2回配本(2003年12月刊)
『ヘビイチゴ・サナトリウム』ほしおさなえ

ヘビイチゴ・サナトリウム  中高一貫教育の女子校の屋上から、事故で眼を悪くしていた高3の生徒が墜死した。彼女の幽霊が出るという噂と、男性国語教師と彼女の交際の噂が飛び交うなか、件の教師も同じ屋上から墜死した。二人の死の真相は? 小説家志望の彼は、女生徒と協力しあって書き上げた自作の新人賞受賞を死の直前に辞退していた。ある雑誌で自作中の文章と同じ文章を発見したからだ。なぜ、そんなことになったのか。その文章の真の作者は誰なのか。死んだ女生徒の登場する原稿、しない原稿……錯綜するテキストとP・オースターの小説『鍵のかかった部屋』。教師の死んだ妻が残した「ヘビイチゴ・サナトリウム」というネット・サイトに隠された秘密は……? そして浮かび上がる密室殺人。詩人の独特な言語感覚に彩られた、見事なミステリ・デビュー作!
ほしおさなえ
 詩人・作家。「大下さなえ」の名で、詩集『夢網』(思潮社)、詩画集『くらげそっくり』(西岡千晶との共作・青林工藝舎)など。ほかに、「群像」(講談社)、「すばる」(集英社)などに小説を発表。

***

 ■ 第1回配本(2003年11月刊)
【2004年度吉川英治文学新人賞受賞作】
『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー  引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。彼の標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!四散した断片が描き出す物語の全体像は? 注目の気鋭による清冽なミステリ。
伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)
 1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒。96年、『悪党たちが目にしみる』で第13回サントリーミステリー大賞に佳作入選後、2000年『オーデュボンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビューする。清冽な感性とパズル的な構成が溶け合った独自の作風を開拓し、第4長編『重力ピエロ』は大好評を博した。他の著作に『ラッシュライフ』『陽気なギャングが地球を回す』がある。


ひとつ前のページへもどるトップページへもどる