中井英夫全集12

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月蝕領映画館

中井英夫


月蝕領映画館

ジャンル
一般文芸 > 全集
レーベル
創元ライブラリ
シリーズ
中井英夫全集 12

判型:文庫判
ページ数:242ページ
初版:2006年11月17日

ISBN:978-4-488-07034-2
Cコード:C0193
文庫コード:L-な-1-12



内容紹介

影だけが妖しく壁を伝い、眠りだけがすべてを宰領する月蝕領映画館。「街があり映画館があり、中に映画があり銀幕がありスタアがいるという“往き”の手続き、あるいはその逆という“還り”の手続きなしに映画だけの話をするつもりはない」――昔語り、批評、苦言、ぼやき、小言、悪態……そして褒詞が少々。独断と偏見、記憶と回想に彩られた、月蝕領領主の偏愛的映画論集。解説=松山巖


目次

12『月蝕領映画館』(1984) 映画論

『月蝕領映画館』(1981-1982)
「1 新宿に吹く風」/「2 映画のブラックホール」/「3 異形の者たち」/「4 ほおずき変幻」/「5 けんか映画のこと」/「6 二つの狂宴」/「7 月蝕領ふうな欠落」/「8 ヴィスコンティの時間」/「9 戦後のソ連映画」/「10 兵隊に行く前」/「11 時館と空館」/「12 消えた映画館」/「13 信じられぬ飛翔」/「14 街の中の映画」/「15 二重の役」/「16 渋谷の哀しみ」/「17 湧き返るスタアたち」/「18 新しいソ連映画」/「19 贋の金貨」/「20 御馳走」/「21 ダブル・カルバドス」/「22 さよなら81年」/「23 初日と初回」/「24 苦汁」/「25 踊り子と軍事予算」/「26 古い耳」/「27 ヴィスコンティふたたび」/「28 潜水艦もの」/「29 白い馬・黒い馬」/「30 時間の翼」/「31 ワーストテン」/「32 緑の瞳」/「33 旅は青空」/「34 臣下の礼」/「35 流砂のごとく」/「36 題名について」/「37 新緑世代」/「38 女優とお菓子」/「39 近未来という言葉」/「40「新青年」の時代」/「41 バベルの塔」/「42 虹の立つ海」/「43 流れを変える」/「44 内攻の時代」/「45 美しき未青年」/「46 キナ臭さ、とは」/「47 まじめさについて」/「48 浅間山麓にて」/「49 ないない尽し」/「50 詩人の寵」/「51 コッポラの嘆き」/「52 映画とレビュー」/「53 八月十五日」/「54 雨と怪談」/「55 父と子」/「56 動物たち」/「57 夢への飛翔」/「58 高望み」/「59 ものぐさな客」/「60 楽しさと不快さ」/「61 未来への旅」/「62 記憶の変質」/「63 死後の町」/「64 残虐さについて」/「65 夢の現実」/「66 正義のアメリカ」/「67 薬味と哀しみ」/「68 掌中の珠」/「69 過去への旅」/「70 夢びと・旅びと」/「あとがき」

解説 予告された悲哀の記録:松山巖/解題:本多正一
中井英夫全集付録12(「『薔薇の殺意』」伊地智啓、「眠り男の迷宮・迷宮の夢」田中幸一)



中井英夫

(ナカイヒデオ )

1922年東京生まれ。東京大学文学部中退。日本短歌社、角川書店で短歌誌編集に従事。1964年、塔晶夫の筆名で刊行されたアンチ・ミステリ『虚無への供物』は、探偵小説の歴史のみならず20世紀文学に金字塔を打ち立てることになった。1974年、『悪夢の骨牌』で第2回泉鏡花文学賞受賞。1993年歿。創元ライブラリ版『中井英夫全集』では、『黒鳥譚』『とらんぷ譚』以下の幻想耽美小説、『香りの時間』に始まる洒脱なエッセイ、戦中日記『彼方より』、詩篇・短歌論など多彩な業績がコンパクトに集成されている。