中井英夫全集7

カオリノジカン

香りの時間

中井英夫


香りの時間

ジャンル
一般文芸 > 全集
一般文芸 > エッセイ
レーベル
創元ライブラリ
シリーズ
中井英夫全集 7

判型:文庫判
ページ数:724ページ
初版:1998年8月28日

ISBN:978-4-488-07022-9
Cコード:C0193
文庫コード:L-な-1-7



内容紹介

薔薇、香水、宝石、シャンソン、百科事典、コンピューター……ハネギウス一世の偏愛する美の世界に、1983年、田中貞夫と寺山修司、かけがえのない2人の死が齎された――。エッセイ集『香りの時間』『墓地』『地下鉄の与太者たち』『溶ける母』を収録。審美家・中井英夫のダンディズムに彩られた横顔とまなざし。解説=紀田順一郎


目次

7『香りの時間』(1998) エッセイ II

『香りの時間』(1981)
〈I 香りの時間〉(1979-1980)
「待つ」/「うなだれる」/「訝しむ」/「溶ける」/「礙【さまた】げる」/「狂う」/「記憶する」
〈II 白銀の暗殺者〉
「電気地獄草紙」(1979)/「暗号異聞」(1979)/「禁じられた扉」(1979)/「偏愛的俳優【スタア】列伝――光と影の彼方に」(1979)/「幻影の都市――私の都市論」(1979)/「地下鉄幻想」(1980)/「時間の闇――私の文明論」(1980)/「香りの言葉」(1980)/「白銀の暗殺者――香りの源泉について」(1980)/「立野地蔵尊由来」(1979)/「流刑地にて――ホモ・セクシュアルについて」(1979)/「男が化粧するとき」(1980)/「現代の「いき」の構造」(1980)/「「新青年」の変遷」(1980)/「恐山の異臭」(1980)/「幻町の住人になるには」(1977)/「建石修志の不在 中井英夫/おゝ厳格なる数学よ 建石修志」(1980)
〈III 黒鳥の呟き〉
「白鳥扼殺者」(1979)/「黄いろい涎」(1979)/「紫匂う舞台」(1979)/「蒼ざめた月曜」(1979)/「青雲の志とは」(1979)/「薔薇と狂気と」(1979)/「金と銀と銅」(1979)/「緑いろの血」(1979)/「茶の犬の墓」(1979)/「橙果親しむ候」(1979)/「紅葉【もみ】づる庭で」(1979)/「黒鳥の死まで」(1979)/「あとがき」(1981)

『墓地――終りなき死者の旅』(1981)
「1 自分の墓を求めて(黒蝶譜)」(1977)/「2 墓場からの逆行」(1977)/「3 墓へ到る道」(1977)/「4 水辺の睡り」(1977)/「5 海という名の墓」(1977)/「6 墓と墓地と」(1977)/「7 生きながらの墓」(1977)/「8 新“懶人【ロイアルト】考”」(1977)/「9 天主への祈り」(1977)/「10 鶯よ、我を憐れめ」(1977)/「11 絵葉書の裏の歴史」(1977)/「12 裏切り者の墓」(1977)/「13 流人とその死」(1977)/「14 樹の墓・紙の墓」(1977)/「15 時間の手の持主」(1977)/「16 鎌原部落の墓と葬制」(1977)/「17 小説「墓からの贈り物」」(1977)/「あとがき」(1981)

『地下鉄の与太者たち』(1984)
〈I〉「ふるさと・わが流刑地」(1981)/「死者の香――恐山菩提寺」(1981)/「幻影美術館にて――ボッス小論」(1979)/「胎児の夢――竹中英太郎」(1980)/「襤褸【らんる】の天使――武満徹」(1980)/「からくり讃」(1984)
〈II〉「戦後風俗の中のカフカ」(1979)/「地下鉄の与太者たち――ボルヘス」(1980)/「風に唄う人――プレヴェール」(1979)/「掠れた唄たちへの頌――シャンソン」(1982)/「ゴルゴダの唄――少年愛」(1982)/「サド侯爵の脇役たち」(1979)/「繭ごもる嬰児――澁澤龍彦」(1980)/「銀と金――乱歩と正史」(1979)/「枇杷熟るるころ――内田百けん【門構に月】」(1982)/「美の洪水――泉鏡花」(1979)/「王の孤独――久生十蘭」(1982)
〈III〉「第五太陽忌」(1980)/「襤褸と裸と」(1979)/「薔薇の旅 ただし過去への」(1982)/「澄江堂の幻」(1980)/「カーの欠陥本」(1980)/「陰画の旅」(1981)/「ガス燈の彼方に」(1981)/「最後列の聴衆」(1979)/「デルボオ電車」(1979)/「内部のながめ」(1981)
〈IV 寺山修司・田中貞夫追悼〉「弔辞」(1983)/「われに五月を」(1983)/「むなしい薔薇」(1983)
「あとがき」(1983)

『溶ける母』(1986)
〈I〉「薔薇の力」(1979)/「緑の手ぶくろ」(1982)/「溶ける母」(1982)/「毒蝶の群れ」(1982)/「三月の娼婦」(1982)/「蛾の眠り」(1982)/「横顔と月光」(1981)/「人形たちの反乱」(1980)/「炎の井戸」(1978)/「白日葬」(1984)
〈II〉「悔いと酒の日々」(1982)/「二つの町」(1982)/「点滴のしずく」(1983)/「宴の終りに」(1984)
〈III〉「香は在りぬ」(1979)/「父の笑顔」(1984)/「一歩の一歩」(1977)/「火の継承」(1981)
〈IV〉「時間の彼方の瞳」(1981)/「奇妙な暗い洞――マンガとエロチシズム」(1977)/「紫いろの薔薇――芥川比呂志氏追悼」(1982)/「戦中・戦後」(1982)/「バラ色の漿果――スパイ小説について」(1983)/「モルモットの弁――空白の八・一五」(1982)/「等身大」(1982)/「残酷な日記」(1983)/「未来の法廷」(1982)/「オジン考」(1982)
〈V〉「海の眺め」(1981)/「三越今昔」(1983)/「真夏の旅」(1983)/「うすなさけ」(1983)/「おとなの娯しみと昔の名優たち」(1983)/「いろんな番組 いろんな夕焼け」(1983)
〈VI〉「言葉の宝石」(1981)/「ページの向うの娼婦たち」(1984)/「葡萄詩」(1980)/「ある苦さについて」(1981)/「架空の廻廊 私と推理小説」(1980)/「彼方の王宮」(1981)/「剥落した記憶」(1983)/「美の棘」(1981)/「幻想文学の構造」(1979)「あとがき」(1986)

解説――百科事典は世界を救出できるか:紀田順一郎/解題:本多正一
中井英夫全集付録6(「消えた人へ」祝部陸大、「長いものが嫌い」和気元)



中井英夫

(ナカイヒデオ )

1922年東京生まれ。東京大学文学部中退。日本短歌社、角川書店で短歌誌編集に従事。1964年、塔晶夫の筆名で刊行されたアンチ・ミステリ『虚無への供物』は、探偵小説の歴史のみならず20世紀文学に金字塔を打ち立てることになった。1974年、『悪夢の骨牌』で第2回泉鏡花文学賞受賞。1993年歿。創元ライブラリ版『中井英夫全集』では、『黒鳥譚』『とらんぷ譚』以下の幻想耽美小説、『香りの時間』に始まる洒脱なエッセイ、戦中日記『彼方より』、詩篇・短歌論など多彩な業績がコンパクトに集成されている。