中井英夫全集3

トランプタン

とらんぷ譚

中井英夫


とらんぷ譚

ジャンル
一般文芸 > 全集
レーベル
創元ライブラリ
シリーズ
中井英夫全集 3

判型:
ページ数:714ページ
初版:1996年5月31日

ISBN:978-4-488-07003-8
Cコード:C0193
文庫コード:L-な-1-3



内容紹介

LeRomand’unTricheur. ――その邦題「とらんぷ譚」に魅せられたことばの錬金術師中井英夫が、10年を費やした連作「幻想博物館」「悪夢の骨牌」(泉鏡花賞受賞)「人外境通信」「真珠母の匣」を1冊に集成した。きらびやかな色彩幻想と目眩く巧緻。華麗な幻戯の王国を、初版本以来のスタイルでお贈りする完全版である。解説=東雅夫


目次

『とらんぷ譚』(1980) 小説 III

『幻想博物館』(1972)
「火星植物園」(1970)/「聖父子」(1970)/「大望ある乗客」(1970)/「影の舞踏会」(1970)/「黒闇天女」(1970)/「地下街」(1970)/「チッペンデールの寝台」(1970)/「セザーレの悪夢」(1971)/「蘇るオルフェウス」(1971)/「公園にて」(1971)/「牧神の春」(1971)/「薔薇の夜を旅するとき」(1971)/「邪眼」(1971)

『悪夢の骨牌』(1973)
〈I 玻璃の柩のこと並びに青年夢魔の館を訪れること〉
「水仙の眠り」(1973)/「アケロンの流れの涯てに」(1973)/「暖い墓」(1973)
〈II ビーナスの翼のこと並びにアタランテ獅子に変ずること〉
「大星蝕の夜」(1973)/「ヨカナーンの夜」(1973)/「青髯の夜」(1973)/「薔薇の獄」(1974)
〈III 戦後に打上げられた花火のこと並びに凶のお神籤のこと〉
「緑の唇」(1973)/「緑の時間」(1973)/「緑の訪問者」(1973)
〈IV 時間の獄のこと並びに車掌車の赤い尾灯のこと〉
「廃屋を訪ねて」(1973)/「戦後よ、眠れ」(1973)/「闇の彼方へ」(1973)

『人外境通信』(1976)
「薔薇の縛め」(1975)/「被衣」(1975)/「呼び名」(1975)/「笑う椅子」(1975)/「鏡に棲む男」(1975)/「扉の彼方には」(1975)/「藍いろの夜」(1974)/「青猫の惑わし」(1976)/「夜への誘い」(1976)/「美味追真」(1976)/「悪夢者」(1976)/「薔人」(1976)/「薔薇の戒め」(1976)

『真珠母の匣』(1978)
〈I 三人姉妹予言に戦くこと並びに海の死者のこと〉
「恋するグライアイ」(1977)/「死者からの音信」(1977)/「海の雫」(1977)
〈II 老女独り旅のこと並びにセーヌ河に浮かぶ真珠のこと〉
「幻影の囚人」(1977)/「ピノキオの鼻」(1977)/「優しい嘘」(1977)/「虚」(うろ)(1980)
〈III 花火と殺人の誘いのこと並びに青は紅に勝つこと〉
「紅と青と黒」(1978)/「金色の蜘蛛」(1978)/「青い贈り物」(1978)
〈IV 砂時計の砂の滅びのこと並びに翔べない翼のこと〉
「無の時間」(1978)/「盗まれた夜」(1978)/「絶滅鳥の宴」(1978)

『影の狩人 幻戯』
「影の狩人」(1979)/「幻戯」(1975)

後記:中井英夫/解説:東雅夫/解題:本多正一/初出一覧
中井英夫全集付録1(「問題の所在」竹本健治、「「とらんぷ譚」の頃」石川順一)



中井英夫

(ナカイヒデオ )

1922年東京生まれ。東京大学文学部中退。日本短歌社、角川書店で短歌誌編集に従事。1964年、塔晶夫の筆名で刊行されたアンチ・ミステリ『虚無への供物』は、探偵小説の歴史のみならず20世紀文学に金字塔を打ち立てることになった。1974年、『悪夢の骨牌』で第2回泉鏡花文学賞受賞。1993年歿。創元ライブラリ版『中井英夫全集』では、『黒鳥譚』『とらんぷ譚』以下の幻想耽美小説、『香りの時間』に始まる洒脱なエッセイ、戦中日記『彼方より』、詩篇・短歌論など多彩な業績がコンパクトに集成されている。