前職で人間関係につまずき、25歳を目前に再び就職活動をしていた環は、小さなデザイン会社の求人に惹かれるものがあり応募する。面接当日、そこにいた社長は、子どもの頃に見た地元のアイドルユニットで輝いていた、あの人だった──。
アイドルをやめ会社を起こした菜里子と、アイドル時代の彼女に憧れて芸能界を夢見ていた環。ふたりは不器用に、けれど真摯に向き合いながら、互いの過去やそれぞれを支えてくれる人々との関係性も見つめ直してゆく。年齢、立場、生まれ育った環境──全てを越えた先の物語。
砂村かいり
(スナムラカイリ )2020年『炭酸水と犬』『アパートたまゆら』で第5回カクヨムWeb小説コンテスト恋愛部門〈特別賞〉を二作同時受賞してデビュー。他の著書に『黒蝶貝のピアス』『苺飴には毒がある』『マリアージュ・ブラン』『コーヒーの囚人』がある。