中学三年生のクリスマス。瑞希は外国に引っ越す恋人に別れを告げられた。けれど、二人は航空記念公園にある「天馬」の前で一つの約束をする。あれから10年、届いた同窓会の招待状に、瑞希は彼との再会を期待せずにはいられなかった。そして、彼があの日の約束を覚えていることを。(「雪には雪のなりたい白さがある」)
春の嵐、夏の日差し、秋の落ち葉を踏む音、冬の寒さ。公園の中で空を見上げれば、あの日々を思い出す──。公園を舞台に紡がれる四つの物語。
「雨上がりに傘を差すように」港の見える丘公園
「体温計は嘘をつかない」あけぼの子どもの森公園
「メタセコイアを探してください」石神井公園
「雪には雪のなりたい白さがある」航空記念公園
瀬那和章
(セナカズアキ )兵庫県生まれ。2007年、第14回電撃小説大賞〈銀賞〉を受賞し、『under 異界ノスタルジア』でデビュー。〈レンタル・フルムーン〉シリーズをはじめ、『好きと嫌いのあいだにシャンプーを置く』『婚活シュート!』などの著書がある。『雪には雪のなりたい白さがある』が初の一般文芸作品となる。