昭和40年代の街角には、いつでも不思議と冒険が潜んでいた。貸本屋で交わされる暗号。未来世界に通じる土管。怪物を呼び戻すソノシート。時空を超えて繋がる鉱石ラジオ。……今も黄昏の街角で、彼らはかつての少年たちを待っている。短編の魔術師が贈る、郷愁と謎の街への招待状。〈ミステリーズ！〉連載時に作品を彩った、谷弘兒氏の挿絵を完全収録。
●収録作品
「遠い遠い街角」
「書肆に潜むもの」
「菓子宵」
「土管という扉」
「跫音の夜」
「33回転の螺子」
「結晶の囁き」
「幻（うそく）の博覧会」
井上雅彦
（イノウエマサヒコ ）1960年東京都生まれ。明治大学卒。81年「消防車が遅れて」でデビュー。83年、星新一ショートショートコンテスト優秀作に選出される。97年から書き下ろしアンソロジー・シリーズ《異形コレクション》の監修を務め、翌年同シリーズで日本SF大賞特別賞を受賞。主な著作は、『竹馬男の犯罪』『1001秒の恐怖映画』『綺霊』『燦めく闇』『遠い遠い街角など。