サリーは幼い娘ハリエットの姿を見ながら、幸せな気分につつまれていた。愛するフレデリックは死んでしまったが、今ではたよりになる友人たちがいて、住みごこちのいい家も、やりがいのある仕事もある。だがそんな彼女の幸福を、一通の書類がうちくだいた。見知らぬ男からの身に覚えのない結婚と離婚の申し立て。相手はハリエットの親権を要求している。敵は何をねらっているのか? 愛する娘を守るため、サリーの新たな戦いが始まる。
フィリップ・プルマン
1946年イギリスのノリッジ生まれ。イギリス、ジンバブエ、オーストラリアを転々としたのち本国にもどり、オクスフォード大学エクセター・コレッジで英文学を学ぶ。その後、教鞭をとるかたわら児童書の執筆を、1982年に Count Karlstein を発表したのち、〈サリー・ロックハートの冒険〉4部作を書きはじめる。その後1995年から〈ライラの冒険〉3部作(新潮社)を発表、第1巻の『黄金の羅針盤』ではカーネギー賞、ガーディアン賞を、第3巻の『琥珀の望遠鏡』ではウィットブレット賞児童文学賞と最優秀賞を同時受賞するという快挙をなしとげた。
山田順子
(ヤマダジュンコ )1948年福岡県生まれ。立教大学社会学部社会学科卒業。主な訳書に、アーモンド『肩胛骨は翼のなごり』、キング『スタンド・バイ・ミー』、クリスティ『ミス・マープル最初の事件』、リグズ『ハヤブサが守る家』、プルマン『マハラジャのルビー』など。