【泉鏡花文学賞・星雲賞受賞】
司政官マセは太陽の新星化を公表し、緊急指揮権を確立する。だが退避計画の遂行は困難をきわめた。移住先を決定する住民投票、脱出のための宇宙船運行の手配……。しかも計画が進むにつれ住民たちの反撥も高まってゆき、ついには大規模な暴動となってマセを襲う──。さらに、奇妙にも先住者たちは、誰ひとりとして退避勧告に従おうとしない。空前の計画はいかにして完遂されるのか? 著者あとがき=眉村卓/解説=牧眞司
眉村卓
(マユムラタク )1934年大阪市生まれ。大阪大学経済学部卒。61年に「下級アイデアマン」が第1回空想科学小説コンテストに佳作入選しデビュー。79年に『消滅の光輪』で第7回泉鏡花文学賞、第10回星雲賞を、87年に『夕焼けの回転木馬』で第7回日本文芸大賞を、96年に『引き潮のとき』で第27回星雲賞を受賞。ジュヴナイルの代表作『なぞの転校生』『ねらわれた学園』は何度も映像化された。2019年没。