2034年、地球の夜空から一夜にして星々が消えた。正体不明の暗黒の球体が太陽系を包み込んだのだ。世界を恐慌が襲い、球体についてさまざまな仮説が乱れ飛ぶが、決着を見ないまま33年が過ぎた……。ある日、元警官ニックは、病院から消えた女性の捜索依頼を受ける。だがそれが、人類を震撼させる真実につながろうとは! ナノテクと量子論が織りなす、戦慄のハードSF。著者の記念すべきデビュー長編。訳者あとがき=山岸真/解説=前野昌弘
*第1位「SFが読みたい!」ベストSF1999/海外篇
グレッグ・イーガン
1961年、オーストラリアのパースに生まれた。西オーストラリア大学で数学の理学士号を取得。数年間、兼業で創作活動を続けたのち、現在は作家専業になっている。
山岸真
(ヤマギシマコト )1962年新潟県生まれ。埼玉大学教養学部卒。SF翻訳家、研究家。主な訳書に『宇宙消失』をはじめとするグレッグ・イーガンの全作品、マイクル・コニイ『ハローサマー、グッドバイ』、編著に『80年代SF傑作選』(小川隆と共編)、『90年代SF傑作選』、『20世紀SF1−6』(中村融と共編)など。資料調査や丁寧なリスト作成でも定評がある。