星間戦争に敗北し、ガニメデ人に占領された地球。だが人類には希望があった。テネシーの山中で、戦前から抑圧されてきた黒人たちを率いる抵抗勢力の指導者が反撃の機会を窺っていたのだ。一方、異端の天才精神科医が開発したものの、だれも使用したことのない最終兵器が発見された……。種の生存を賭けた空前の幻覚兵器大戦! 本邦初訳長編。訳者あとがき=佐藤龍雄/解説=牧眞司
フィリップ・K・ディック
アメリカの作家。1928年生まれ。1952年に短編作家として出発し、その後長編を矢つぎばやに発表、「現代で最も重要なSF作家の一人」と呼ばれるまでになる。ゆるぎない日常社会への不信、崩壊してゆく現実感覚を一貫して描き続けた。代表作に『ユービック』『火星のタイム・スリップ』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『スキャナー・ダークリー』『ヴァリス』など。1982年歿。
レイ・ネルスン
アメリカの作家。1931年生まれ。高校生時代よりファンダムで活躍。50年代にパリに渡り60年代初頭に帰国。63年に短編作品で商業デビューした。同年に発表した短編「朝の八時」は88年にカーペンター監督により『ゼイリブ』として映画化された。他の邦訳長編に『ブレイクの飛翔』がある。
佐藤龍雄
(サトウタツオ )1954年生まれ。幻想文学翻訳家。主な訳書に、ワイリー&バーマー『地球最後の日』、ディック『あなたをつくります』『未来医師』、シュート『渚にて』ほか多数。