マニーは外宇宙で母親の処女受胎によって生をうけた。邪悪なゾーンに覆われた地球に送り込まれようとしたとき、事故が発生し、マニーは一切の記憶を失ってしまう……。六年がすぎ、マニーはジナという名の少女に出会った。彼女に導かれるようにマニーは自分の正体を知っていくが……。『ヴァリス』の主題を展開させた、二〇〇年後の物語。
フィリップ・K・ディック
アメリカの作家。1928年生まれ。1952年に短編作家として出発し、その後長編を矢つぎばやに発表、「現代で最も重要なSF作家の一人」と呼ばれるまでになる。ゆるぎない日常社会への不信、崩壊してゆく現実感覚を一貫して描き続けた。代表作に『ユービック』『火星のタイム・スリップ』『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『スキャナー・ダークリー』『ヴァリス』など。1982年歿。
大瀧啓裕
(オオタキケイスケ )1952年、大阪市生まれ。著書に『魔法の本箱』『エヴァンゲリオンの夢』、訳書にラヴクラフト『文学における超自然の恐怖』、ラッセル『悪魔の系譜』、スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』『ヒュペルボレオス極北神怪譚』『アヴェロワーニュ妖魅浪漫譚』、オブライエン『金剛石のレンズ』、ウィルスン〈始末屋ジャック〉シリーズ他多数。