われらが名探偵シャーロック・ホームズがロンドンのとある古物商から入手した水晶の卵。それには世にも不思議な映像が映し出された。事の重大さを察知したホームズがそれを持参し意見を求めた相手は、誰あろう天下の冒険家チャレンジャー教授。そして二人の一致した見解は……なんと火星人の襲来を予測するものだった! ウェルズの『宇宙戦争』を題材に軽快な筆致で贈る痛快作。解説=深町眞理子
マンリー・ウェイド・ウェルマン
アメリカの作家。1903年ポルトガル領西アフリカ生まれ。1927年、怪奇小説誌〈ウィアード・テールズ〉より作家デビュー。邦訳された作品に、ホラー連作集『悪魔なんかこわくない』があり、またエドモンド・ハミルトン《キャプテン・フューチャー》シリーズ中の一冊である『小惑星要塞を粉砕せよ!』の執筆を担当したことでも知られている。『シャーロック・ホームズの宇宙戦争』は幻想詩人としても名をなした息子ウェイド・ウェルマンとの合作による、彼のSF作品の代表作。1986年没。
深町眞理子
(フカマチマリコ )1931年生まれ。1951年、都立忍岡高校卒業。英米文学翻訳家。主な訳書に、ドイル《シャーロック・ホームズ》シリーズ、ギャスケル《アトランの女王》全3巻、オールディス『グレイベアド』、エラリー・クイーン編『ミニ・ミステリ傑作選』など多数。