砂漠の果て、大海をのぞむ崖の上に、遠未来都市〈シナバー〉は忽然と姿をあらわす。機械知性によるゆきとどいた管理と、抗老化処置が約束する永遠の生命。満ち足りていたはずの都市生活はしかし、メランコリアと退廃に蝕まれてゆき──バラードの名作〈ヴァーミリオン・サンズ〉の影響のもと、ネビュラ賞作家ブライアントが情感ゆたかに描きだした、幻のSF連作がついに邦訳! 著者序文=エドワード・ブライアント/解説=大野万紀
エドワード・ブライアント
1945年ニューヨーク州生まれ。68年にワイオミング大学で修士号を取得。クラリオン・ワークショップに参加する。79年に「石」が、その翌年に「ジャイ-アント」がネビュラ賞短編部門を受賞。詩的かつ印象的な短編の名手として知られ、ほかに詩、ノンフィクション、批評、評論も執筆する。2017年没。
市田泉
(イチダイヅミ )1966年生まれ、お茶の水女子大学文教育学部卒。英米文学翻訳家。訳書にジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』、キャロル『薪の結婚』、サマター『図書館島』、ジョイス『人生の真実』、ヴクサヴィッチ『月の部屋で会いましょう』(岸本佐知子と共訳)他多数。