全米図書館協会アレックス賞受賞作
母親を亡くして孤独に苛(さいな)まれ、本の囁(ささや)きが聞こえるようになった12歳のデイヴィッドは、死んだはずの母の声に導かれて幻の王国に迷い込む。赤ずきんが産んだ人狼、醜い白雪姫、子どもをさらうねじくれ男……。そこはおとぎ話の登場人物たちが蠢(うごめ)く、美しくも残酷な物語の世界だった。元の世界に戻るため、少年は『失われたものたちの本』を探す旅に出る。本にまつわる異世界冒険譚。スピンオフ掌編「シンデレラ(Aバージョン)」を収録。訳者あとがき=田内志文
ジョン・コナリー
1968年アイルランド生まれ。犯罪小説、ホラー、ファンタジーなどを執筆。ダブリン大学およびダブリンシティ大学で学んだ後、フリーのジャーナリストとして活動。1999年のデビュー作『死せるものすべてに』はシェイマス賞を受賞したほか、ブラム・ストーカー賞とバリー賞にノミネートされた。2007年に『失われたものたちの本』で全米図書館協会アレックス賞を、2014年に「キャクストン私設図書館」でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞とアンソニー賞の最優秀短編賞を受賞した。
田内志文
(タウチシモン )文筆家、スヌーカー選手。訳書にコナリー『失われたものたちの本』『キャクストン私設図書館』、ジャクソン『10の奇妙な話』『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』、カウフマン『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件/奇妙という名の五人兄妹』、スティーヴンソン『新訳 ジキル博士とハイド氏』、オーウェル『1984』などがあるほか、アンソロジー『辞書、のような物語。』に短編「レネの村の辞書」が収録されている。