1944年、ロンドン。夜ごと空襲の恐怖にさらされながら、日々の暮らしに必死でしがみつく女たちと男たち。都会の廃墟で、深夜の路上で、そして刑務所の中で、彼らの運命はすれ違い、交錯する。第二次世界大戦を背景に、赤裸々に活写されるのは人間の生と業、そして時間の流れと過ぎゆく夜。大胆な手法を駆使して、人間という存在の謎に迫る、ウォーターズ渾身の傑作。解説=若島正
*第4位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/翻訳家・評論家部門
*第7位『週刊文春』「2007ミステリーベスト10」/海外部門
*第8位『IN★POCKET』文庫翻訳ミステリーベスト10/総合部門
サラ・ウォーターズ
1966年に英国のウェールズに生まれ、ロンドンで育つ。98年に TIPPING THE VELVET で小説家デビュー。翌99年に発表した第2長編『半身』が大評判となり、アメリカ図書館協会賞やサンデー・タイムズの若手作家年間最優秀賞、さらに、35歳以下の作家を対象とするサマセット・モーム賞(イアン・マキューアン、ジュリアン・バーンズ、サルマン・ラシュディ、ピーター・アクロイドなど錚々たる顔ぶれを輩出した)に輝き、一躍英国文壇の期待の星となった。他の作品に『荊(いばら)の城』(上下)、『夜愁(やしゅう)』(上下)。
中村有希
(ナカムラユキ )1968年生まれ。1990年東京外国語大学卒。英米文学翻訳家。訳書に、ソーヤー『老人たちの生活と推理』、マゴーン『騙し絵の檻』、ウォーターズ『半身』『荊の城』、ヴィエッツ『死ぬまでお買物』、クイーン『ローマ帽子の謎』など。