人から依頼されて動くプロの泥棒、怪盗ニックが盗むのは「価値のないもの、もしくは誰も盗もうとは思わないもの」だけ。そんな奇妙な条件にもかかわらず、彼のもとには依頼が次々舞い込んでくる。ターゲットはプールの水、プロ野球チーム、恐竜の尾……それらをいったいどうやって盗む? 短編の名手ホックが創造したユニークな怪盗の全仕事を発表順に収録した文庫版全集第1弾。解説=木村仁良
*第8位『IN★POCKET』「2015年文庫翻訳ミステリー・ベスト10」読者部門
「斑(まだら)の虎を盗め」
「プールの水を盗め」
「おもちゃのネズミを盗め」
「真鍮(しんちゅう)の文字を盗め」
「邪悪な劇場切符を盗め」
「聖なる音楽を盗め」
「弱小野球チームを盗め」
「シルヴァー湖の怪獣を盗め」
「笑うライオン像を盗め」
「囚人のカレンダーを盗め」
「青い回転木馬を盗め」
「恐竜の尻尾(しっぽ)を盗め」
「陪審団を盗め」
「革張りの柩(ひつぎ)を盗め」
「七羽の大鴉を盗め」
エドワード・D・ホック
アメリカの作家。1930年ニューヨーク州生まれ。1955年、雑誌にサイモン・アークもの第1作となる短編「死者の村」が掲載されデビュー。以降50年以上にわたり、短編ミステリの第一人者として活躍し続けた。サイモン・アーク、怪盗ニック・ヴェルヴェット、レオポルド警部やサム・ホーソーン医師など、多種多彩なキャラクターを起用して謎解きの醍醐味を満喫させる作風は本国でも高く評価され、2001年にはアメリカ探偵作家クラブ(MWA)生涯功労賞を受賞したほか、数々の栄誉に輝いている。2008年没。