〈黒後家蜘蛛の会(ブラック・ウィドワーズ)〉の会員――弁護士、暗号専門家、作家、化学者、画家、数学者の六人、それに給仕一名は、月一回〈ミラノ・レストラン〉で晩餐会を開いていた。食後の話題には毎回不思議な謎が提出され、会員が素人探偵ぶりを発揮する。ところが最後に真相を言い当てるのは、常に給仕のヘンリーだった! SF界の巨匠が著した、安楽椅子探偵の歴史に燦然と輝く連作推理短編集。訳者あとがき=池央耿/解説=太田忠司
「会心の笑い」
「贋物(Phony)のPh」
「実を言えば」
「行け、小さき書物よ」
「日曜の朝早く」
「明白な要素」
「指し示す指」
「何国代表?」
「ブロードウェーの子守歌」
「ヤンキー・ドゥードゥル都へ行く」
「不思議な省略」
「死角」
アイザック・アシモフ
アメリカの作家。1920年、ロシアに生まれ、3歳で家族とアメリカに移住しニューヨークで育った。35年、15歳の若さでコロンビア大学へ入学。39年、SF専門誌に短編が掲載され作家デビュー。40年代の“SF黄金時代”の立役者の一人となり、50年、自身が考案した〈ロボット工学の三原則〉に基づく連作短編集『わたしはロボット』で一躍脚光を浴びた。SFの代表作に、壮大な未来叙事詩《銀河帝国の興亡》シリーズ、またミステリの代表作に、安楽椅子探偵物として名高い《黒後家蜘蛛の会》シリーズがある。一般向け科学解説書をはじめ、ノンフィクションも数多く発表した。92年没。
池央耿
(イケヒロアキ )1940年生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。英米文学翻訳家。主な訳書に、ドン・ペンドルトン「マフィアへの挑戦」シリーズ、アシモフ「黒後家蜘蛛の会」1〜5、ニーヴン&パーネル「神の目の小さな塵」、ホーガン「星を継ぐもの」ほか多数。2023年没。