「母さんが誘拐された」ミュンヘン市警の捜査官ザビーネは、父から知らせを受ける。母親は見つかった。大聖堂で、パイプオルガンの脚にくくりつけられて。遺体の脇にはインクの缶。口にはホース、その先には漏斗が。処刑か、なにかの見立てか。ザビーネは連邦刑事局の腕利き変人分析官と共に犯人を追う。そして浮かび上がったのは、別々の都市で奇妙な殺され方をした女性たちの事件だった。『夏を殺す少女』の著者が童謡殺人に挑む。訳者あとがき=酒寄進一
アンドレアス・グルーバー
1968年ウィーン生まれ。90年代半ばに作家デビューしてから短編作家として鳴らし、ドイツ幻想文学賞短編部門、ヴィンセント賞短編部門など、ドイツ語圏の文学賞の短編部門で何度も受賞し、ノミネート作品も多い。2005年から長編を書きだし、2011年に出版された『夏を殺す少女』で「オーストリアから世界に通用する作家が生まれた」と評判に。現在では押しも押されもせぬミステリ作家としての地歩を築いている。
酒寄進一
(サカヨリシンイチ )ドイツ文学翻訳家。和光大学教授。主な訳書に、コルドン〈ベルリン三部作〉、ヘッセ「デーミアン」、フォン・シーラッハ「犯罪」「神」、ノイハウス「深い疵」「友情よここで終われ」、カシュニッツ「その昔、N市では」などがある。